【え!? トヨタとじゃなくて?】フォルクスワーゲンとフォード、なぜ技術連携強化 EV/商用車/自動運転まで多岐

公開 : 2020.06.14 05:50

電動化でクルマの差別化はどうなる?

VWのEVプラットフォーム、MEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリックス)では、「ID.3」を皮切りとした、VWグループ全体でのEV化が加速している。

ブランドとしては、フォルクスワーゲンアウディポルシェ、スペインのセアト、チェコのシュコダ、さらにランボルギーニベントレーまで、VWグループ全体へと及ぶ。

フォルクスワーゲンID.3の透視図。
フォルクスワーゲンID.3の透視図。    フォルクスワーゲン

EV普及で最重要なことは、電池、モーター、制御系などの電動駆動系の量産効果を高めるための共通プラットフォーム化であることは、自動車業界の常識となっている。

テスラや、中国のEVベンチャーでも、同様の考えを持つが、世界最大級のVWグループによるEVシフトが世界市場に与える影響は計り知れない。

一方で、VWのEVシフトについては、あまりに規模が大きく、しかも短期間に行う計画であるため、業界内からは「本当にやり切れるのか?」、「やり切れなければ、業界全体としてのEVシフトが頓挫する」といった声があるのも事実だ。

そうした中で今回、フォードがVWとEVで組んだ。

フォードとしては、GMがホンダ向けにEVプラットフォームの提供を発表し、ルノー日産三菱では日産主導のEVプラットフォーム共有化が明確になる中、EVで組める相手を探してきた。

当然、候補の1つはトヨタであったはずだが、2019年7月にはVWとの連携を公にし、今回の詳細発表に至った。

トヨタではなくVWと組んだ理由は?

フォードは電動化について、トヨタとの連携を進めた時期がある。

2011年に、SUV向けのハイブリッド技術や、通信などによるテレマティクス技術での共同開発を行うと発表している。

MEBをシェアすることで、スケールとコスト面のメリットがあると両社は主張。
MEBをシェアすることで、スケールとコスト面のメリットがあると両社は主張。    フォルクスワーゲン

だが、2010年代中盤以降、VWのEVシフトが加速。一方のトヨタの電動化戦略はハイブリッド車と燃料電池車に重きを置き、EVは当面、短距離移動のシティコミューターを想定。

フォードは量産型EVについては、EV技術で定評があり、さらに独自の生産ラインを持つカナダのマグナインターナショナルと協業し、フォーカスEVなどを市場導入してきた。

なお、今年(2020年)発売のマスタング・マッハeについては、VWのEVプラットフォームとの関係性についてフォードからコメントはない。

どちらにしても、フォードとしては今後、本格的なEVシフトに向かうため、スケールメリット(量産効果)と業界内での各種アライアンスを考慮した結果、トヨタではなくVWとの連携に踏み切ったのだと考えされる。

また、自動運転技術のアルゴにこれまで巨額投資してきたフォードに対して、自動運転技術での新規投資を検討してきたVWの思惑が一致したことも、EVでの総括連携に至った一因だろう。

一気に進む自動車産業再編。

果たして次は、どことどこが、どのように手を組むのだろうか?

おすすめ記事

 

自動車ニュースの人気画像