【ワケあり車なのに】ランボルギーニ・ミウラP400 オークションで8652万円 コロナ禍をうっちゃる人気

公開 : 2020.06.26 11:50  更新 : 2021.10.11 09:33

ワケありの理由とは

たしかに、オークションに姿を現したプチジャン・コレクションのミウラP400は、使いこまれた好ましい状態にありオリジナルをよく保っていた。

しかし大きな問題があった。

オリジナルをよく保っていた出品車両。エンジンの状態は? ワケありの“ワケ”である。
オリジナルをよく保っていた出品車両。エンジンの状態は? ワケありの“ワケ”である。

それは長年クルマを動かしていなかったため、そのままでは乗れない状態だったことである。

旧いクルマを直している方ならお分かりだろうが、長らくエンジンをかけていないとオイルがすべて下がってしまい、最悪の場合シリンダー内壁やカムシャフトに錆が出てしまい、そのまま始動するとダメージを与えてしまう。

またウォーターホース類も熱が入らないと劣化が進み、そのまま始動して水温が上がるとホースが裂けて爆発してしまうことも考えられる。このほか、ブレーキ関係のオーバーホールや、ホイールベアリングのグリス交換など手を加えるところは多い。

ある意味バーンファインド車を蘇えらせるのと同じ手間が掛るのである。

また館内で移動したときに当てたのかリアフェンダーのフレアの塗装がはげ落ち、このほかにも小さな傷や割れが見られるが、ボディの基本的なダメージは見られなかった。

予想最低額を上回る落札

ランボルギーニ・ミウラはコレクターズカー・オークションに結構出てくるように思えるが、2018年は4台、2019年はわずか1台が出品されただけ。

今年は1月のアリゾナで一挙に3台が姿を見せた。2台がP400Sで、その中の1台が1億3792万円で落札され、残りの1台はSVで、こちらは1億5371万円で終えている。

リアフェンダーには、塗装のはげ落ちも。
リアフェンダーには、塗装のはげ落ちも。

改めて見直すとP400は意外とオークションに出てこない存在で、最近では2018年のアールキュリアル・ルマン・クラシック・オークションに出ただけで、その時は1億848万円で落札されている。

プチジャン・コレクションのミウラP400は、要整備のワケあり車ということから、主催者の予想落札額は8330-9520万円と発表されていた。

オンライン・オークションが終えてみれば、やっぱりミウラは強かった。

予想最低額を上回る8652万円で落札されたのである。

展示用エンジン、2000万円超え

ミュージアムカーであったことと、銀幕の中を駆け抜けたヒストリーが評価されたわけだ。

もし単に寝ていたヒストリーの無いP400であれば、ここまで上がらなかったことだろう。

RMサザビースのオンライン・オークションには、ディスプレイ用のエンジンも出品され、まさかの2033万円で落札。
RMサザビースのオンライン・オークションには、ディスプレイ用のエンジンも出品され、まさかの2033万円で落札。

このミウラP400と共に、プチジャン・コレクションからP400のディスプレイ用のエンジンも出品された。

こちらはシャシー・ナンバー3156のP400に積まれていたエンジン・ナンバー1388のユニットで、ブロックにダメージがありエンジンとして復活させるとなると多額の費用が必要だ。

こちらもワケありでディスプレイ用となるが、オークションを終えてみれば滅多に出てこない希少品だけに2033万円という驚きの額で落札された。

腐っても鯛ではないが、車両もエンジンも、ミウラ人気が完全に定着していることを物語る結果だった。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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