【フィオラノでラ・フェラーリに匹敵】フェラーリSF90 ストラダーレへ伊試乗 前編

公開 : 2020.06.30 10:20

フェラーリとプラグイン・ハイブリッドという組み合わせに、疑問を持つ読者もいるでしょう。心配ご無用。システム総合1000psの最高傑作が登場したようです。英国編集部が、イタリアの一般道とフィオラノで初試乗しました。

もくじ

完全な静けさのままSF90は走り始める
電気の力だけで24kmを走行可能
F8トリブート譲りのV8にトリプルモーター
0-200km/h加速は6.7秒

完全な静けさのままSF90は走り始める

text:Mike Duff(マイク・ダフ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
マラッネロではすでにお馴染みの存在でも、我々にとってSF90ストラダーレは鮮烈だった。最新のフェラーリへの試乗は、有名な工場の入り口から始まった。

今日は、外科用の高性能マスクをした技術者と一緒だ。筆者もマスクを着用している。温度計測カメラで、体温を測られた。いつもなら華々しい発表イベントも開かれるところだが、今回はナシ。幹部とのやり取りもない。

フェラーリSF90 ストラダーレ(欧州仕様)
フェラーリSF90 ストラダーレ(欧州仕様)

技術的なプレゼンテーションは、自宅を出発する前、ビデオで行われた。筆者にとって初めてのSF90への試乗は、わたしのためだけ、といった雰囲気。

クルマの消毒が完全に終わるまで、同乗する技術者も、うるさく警告してくる戦略スタッフもいない。イタリアは新型コロナウイルスから立ち直りつつあり、マラッネロの工場も通常の稼働体制に入っている。しかし、フェラーリの新モデルといえども、リスクを犯すわけにはいかない。

コクピットに座りドアを閉めると、適度な密閉感に包まれる。SF90は、いつものフェラーリとは明確に違う。ステアリングホイールのエンジンスタート・ボタンを押しても、聞き慣れた不協和音が響いてこない。

唯一起きる変化は、メーター用モニターの下部、シフトインジケーター付近に「READY」と表示されるだけ。右側のシフトパドルを引き、NからDへ切り替える。しかしレブカウンターの針は、「0」を指したままだ。

完全な静けさのまま、SF90は走り始める。前輪駆動の電動フェラーリという、まったく新しい体験で始まった。

電気の力だけで24kmを走行可能

2019年、フェラーリ初のプラグイン・ハイブリッドとして発表されたSF90。多くの人は、ラ・フェラーリと同様に、主に電気モーターはエンジンを支援するだけだと考えた。781psを発揮する美声のターボチャージドV8エンジンと、ハーモニーを生み出す脇役として。

しかし実際には、SF90は都市部での利用にも叶う、ちゃんとしたプラグイン・ハイブリッドだった。電気の力だけで24kmの距離を移動でき、スタート時は常にハイブリッド・モード。穏やかに運転している限り、基本的には電気モーターだけで走る。

フェラーリSF90 ストラダーレ(欧州仕様)
フェラーリSF90 ストラダーレ(欧州仕様)

出発地から、ほど近い目的地にも充電器があれば、いつまでも電気自動車として走ることができる。大きなV8エンジンを、重りとして運ぶことにはなるが。もちろん、そんな真似をする人はいないだろう。筆者も。

マラッネロの街を離れる頃には、静かな電動フェラーリとしてのパワーが衰え始めた。エンジンが始動する、パフォーマンス・モードへ切り替えるタイミングだ。

ハイブリッド・モードでアクセルペダルを強く踏み込んでも、エンジンは目覚める。でも、eドライブ・モードでは、エンジンは始動しない。

フェラーリは、低速域を電気モーターだけで走行できる能力を、ユーザーが喜ぶと考えている。早朝でも、賑やかなV8エンジンのサウンドで隣人へ迷惑をかけずに、SF90を発進できるからだ。

フェラーリがハイブリッド・システムを採用したのは、今回が初めてではない。驚くほど複雑なドライブトレインは、技術力の高さを証明している。

 
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