マセラティMCエクストレーマ(2) 猛禽類のように突くエイペックス GT3の世界を五感で体験 お値段は約2億円

公開 : 2026.02.10 18:10

マセラティが「モデナの野獣」と呼ぶMCエクストレーマ V6ネットウーノは734psへ 驚異的な回転上昇 違いを生む軽く強固なボディ 鋭いコーナリングは猛禽類のよう UK編集部がサーキットで試乗

最大トルク74.2kg-m 違いを生む軽く強固なボディ

マセラティMCエクストレーマのトランスミッションは、6速シーケンシャル・マニュアル。ドライバー直後に積まれたエアポンプが、不穏な動作音を鳴らす。運転体験の一部を構成する、特徴にもなっている。

変速スピードは、トップクラスのスーパーカーを超えなくても、軽く強固なボディが違いを生む。ギアを切り替える度、18インチの鍛造アルミホイールへ伝わる最大74.2kg-mのトルクを、直接的に体感できるよう。なんて魅惑的なメカニズムなのだろう。

マセラティMCエクストレーマ(サーキット専用モデル)
マセラティMCエクストレーマ(サーキット専用モデル)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

サウンドは、例えるならデ・トマソ・パンテーラに似ているが、慣性が存在しないように変化する。7500rpmへ迫ると、何かが弾けそうな咆哮へ転じ、ギアノイズもキャビンへ充満する。そして、変速の度にエアポンプのひと吹きが交じる。

猛禽類のようにコーナーの頂点を鋭く突ける

インテリアは、カーボンファイバーとアルカンターラで美しく仕立てられているが、居心地が良いわけではない。パイプが巡らされ、真っ黒で、閉所恐怖症の人は苦手かもしれない。ドアを開く時は、クロス製のタブを引っ張ることになる。

それでもコースに出れば、そんなことは視界の外。サーキットを飛ばすケーターハムへ、あっという間に追いつき、停まっていたように後ろへ消える。

マセラティMCエクストレーマ(サーキット専用モデル)
マセラティMCエクストレーマ(サーキット専用モデル)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

タイヤに熱が入るまでは、フロント側の信頼感を抱きにくいが、ブレーキもひたすら頼もしい。幅が太いから、ブレーキングを遅らせても、リア側の安定性は半端ない。猛禽類が獲物を仕留めるように、コーナーの頂点を鋭く突ける。

ただし、バランスが崩れると大きくアンダーステア。パワーが過剰だと、急激なオーバーステア。ブレーキペダルを蹴飛ばし、回頭性を高めることが重要らしい。こんなことを確認できるほど、懐も深い。

GT3の世界を五感で体験できる約2億円

昼食を挟んで、再びコースイン。タイヤが一皮むけて、MCエクストレーマの安定性は一層高まっていた。トラクション・コントロールを緩めると、素晴らしいバランスと、遥かに扱いやすいことを実感する。

レーシングカーの特徴といえるが、本当の「ドライバーズハイ」を味わえるような領域には、なかなか到達できない。一元的な考えとはいえ、ロータスエキシージでサーキットを飛ばした方が、より楽しいと感じるドライバーは多いだろう。

マセラティMCエクストレーマ(サーキット専用モデル)
マセラティMCエクストレーマ(サーキット専用モデル)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

それでも、エキシージとポルシェ911 カレラ・カップを同時に所有するような裕福なマニアが、この世界には数多く存在する。93万6000ポンド(約1億9656万円)のマセラティを、欲する人がいても驚かない。

GT3レースの世界を、五感で体験できるMCエクストレーマ。極めてシリアスで、極めてドラマチック。これほど素晴らしいクルマには、そうそうお目にかかれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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