約11万円で購入した『アウディA2』 20世紀の未来的アルミボディ車が今も愛される理由

公開 : 2026.02.13 11:45

アウディA2は1999年に登場したオールアルミボディのコンパクトカーで、軽量化と優れた空力設計によって驚くほどの低燃費を実現。約11万円で中古車を購入したUK編集部記者が、その魅力について深堀りしていきます。

今でも新鮮に見えるデザイン

アウディ『A2』についてよく言われることの1つが、「時代を先取りしていた」というものだ。多くの人々が同じ感想を抱くらしい。

確かにそうした意見も理解できる。今このクルマを発表したとしても、現代的に見えるだろう。昨年10月、アウディは実際にA2の25周年を記念して『A2 eトロン・コンセプト』を公開したのだが、その姿は生まれたての子ブタのように新鮮に見えた。

筆者が中古で購入したアウディA2 1.4 TDI
筆者が中古で購入したアウディA2 1.4 TDI    AUTOCAR

だが、もしA2が「時代を先取りしていた」なら、今もなお遥か先を行く存在でなければならない。なぜなら発売から四半世紀以上経った今、全長3.8mで車重900kg未満のアルミ製4人乗りコンパクトカーが市場に溢れているわけではないからだ。

むしろ現代のファミリーカーは、重いスチール製のクロスオーバー車のように、A2とは正反対のものばかりだ。影響力と収益性の両面で、A2は「大成功」とは言い難い。フォード・フォーカスが英国だけで年間12万5000台も売れていた時代に、アウディA2は5年間で全世界でわずか17万6000台しか売れなかった。

A2のコンセプトに最も近いのは、おそらくBMW i3だろう。しかし、こちらも年間2万5000台未満の販売にとどまった。

それでも、A2が文化的影響を残したことは間違いない。なぜなら、人々がこのクルマについて語りたがるからだ。

読者から届いたメールが過去最大

筆者(マット・プライヤー)はこれまで数千台のクルマについて記事を書いてきたが、昨年2月に中古のA2を購入して以来、受信箱に届いたメールの量は過去最大だ。オーナーズクラブから連絡をいただいたほか、マクラーレンF1とA2を所有する人からも話を伺った。A2を8台も所有する男性と話すこともできた。

前のオーナーは、筆者にクルマを引き渡すところを母親に見せたくないと言っていた。筆者はまだA2について十分に理解できていないが、なぜこれほど愛されるのか、少しずつ分かってきた。

筆者が中古で購入したアウディA2 1.4 TDI
筆者が中古で購入したアウディA2 1.4 TDI    AUTOCAR

まず見た目が愛らしい。1990年代当時、アウディは『アヴス』コンセプトを発表し、その後見事なデザインの『A4』、『A6』、『A8』を世に送り出した。1999年末にA2が登場した頃には、すでに『TT』が発売されていた。まさに絶好調の時期だった。

次に、洗練されたボディラインと、それに伴う空力性能の高さが挙げられる。もし、ワイパーやドアハンドルといった突出部を細かく整えていたら、性能をさらに高めることもできたはずだ。

それでもCd値0.25~0.29(仕様により異なる)という空気抵抗係数と、全幅1.67m、全高1.55mの小さな前面投影面積を誇る、極めて効率的なクルマである。

当時は約1万6000ポンド(約340万円)と比較的高価

「これより少ない燃料で走るのは電動車か、極めて燃費の良いディーゼル車だけだ」とAUTOCAR英国編集部は2000年のロードテストで評している。ここでいう「電動車」とは、1万7000ポンド(約360万円)で販売されていたハイブリッド車のホンダインサイトのことだ。

当時、A2は1.4Lガソリンエンジンを搭載するSEモデルで約1万6000ポンド(約340万円)と、比較的高価に見えた。特に同サイズの車種と比較すると顕著で、フォルクスワーゲン・ゴルフと比べても、当初は「高価で小さすぎる」と評価された。

これはメルセデス・ベンツAクラスが抱えていた問題と似ている。Aクラスも同様に小型ながら、巧みなパッケージングで広い室内空間を確保していた。

残存価値(買取価格)と燃費性能を考慮すれば、A2の所有コストは極めて優秀だったはず。しかし、購入者にはその点が理解されなかったようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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