【天才的な作品】ランボルギーニ・カウンタックの魅力が尽きない理由

公開 : 2020.07.11 10:50

運転のしづらさも美点になる

私は幸運にも8台以上のカウンタックを試乗する機会に恵まれた。

決して速くはなかったが、素晴らしいサウンドだった。

ランボルギーニ・カウンタック
ランボルギーニ・カウンタック

私が最後に試乗したのは461psの5.2L Quattro Valvoleだ。

このコンパクトなボディと優れたダンピングがあれば、あと100psくらいは使えるだろうと思っていたのだが、私はレースドライバーではない。

カウンタックはスーパーカー時代の最後の1台で、運転が難しいことを美徳としていた。

落ち着いて走らせることができれば、間違いなく特別なドライバーとして認められた。

ドライビングポジションは妥協されていた。ルーフに頭皮をぶつけないように、大きな段差を乗り越えるときにはかがむ必要がある。

また、どう頑張っても後方は見えづらかった。

勇敢なランボ・ジョッキーたちは、ドアを開けたままシャシーシルの上に腰掛け、エンジンカバーの上を見ながらバックすることを学んだ。

同時期、フェラーリのベルリネッタ・ボクサーやテスタロッサはまだテールハッピーで知られていた。

ポルシェ911ターボは、注意しないと生垣の中を後ろ向きに走ってしまう(あるいはアンダーステアになって中央分離帯に突っ込む)こともあった。

1990年代初頭、イタリアの実業家ルカ・ディ・モンテゼーモロがフェラーリの経営に加わったが、彼はすぐにクルマを乗りやすくすることが重要だと気付いた。

より多くのクルマを売るためには、あらゆるドライバーがクルマを飼い慣らし、快適に楽しめるようにする必要があると考えたのだ。

論理的には正しかったが、しばらくの間、スポーツカーのファンからは冷めた目で見られていた。結果として、彼は間違っていなかったのだが。

忘れがたい特別な体験

それでも、カウンタックに乗りこんで、膝を高く上げて尾てい骨で座り、ほぼ垂直に近いステアリングホイールを至近距離で握るとき(これはランボの伝説的な長身の開発ドライバー、ボブ・ウォレスがやっていた方法)は、今でも特別な気分になる。

騒音は計り知れないほど大きく、シフトチェンジやブレーキ、ステアリングはとても重い。

ランボルギーニ・カウンタック
ランボルギーニ・カウンタック

これはドライビング環境の中で最も純粋なものである。

ラジオを聴こうとか、大金を払って高級オーディオを買おうとか、そんな名目上の考えは滑稽だ。

カウンタックは素のままで味わうべき。下手にいじらない方が良い。

今まで運転して楽しかったクルマの中でも、カウンタックは常に上位に位置している。

特に印象に残っているのは、ランボルギーニのサンタアガタ・ボロニェーゼ本社での出来事だ。

そのカウンタックは英国でデモカーになることが決まっていて、私が直接運ぶことになっていたのだ。イタリアから英国まで。

輸送業者にお金を出して運んでもらう余裕はなかった。

私は束になった書類と希望を抱えて、英国まで走った。

クルマがドーバーの税関で押収されたこともある(私も一緒に押収された)。

最終的にはクルマの中で眠り、税関の構内で一晩を過ごした。

快適ではなかったが、忘れられない特別な旅になったことは確かだ。

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