【理想的なレストモッド】イーグル・ライトウエイトGT Eタイプへ試乗

公開 : 2020.09.13 10:20

ジャガーEタイプの、よくあるレストモッドだと思ったら勘違い。チタンにカーボンファイバー、オーリンズ製のダンパーで武装し、心の底から運転したいと思えるクルマだと、英国編集部は満点の評価を与えます。

現代の量産車のように楽しめるEタイプ

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
筆者好みのロードカーを追求したら、こんなクルマになるのかもしれない。充分に軽量なら、必要以上にパワフルである必要はない。

エンジンはドライバーの前にあって、駆動輪はドライバーの後ろが良い。エンジンは4気筒以上が望ましい。トランスミッションはMTだ。

イーグル・ライトウエイトGT Eタイプ(英国仕様)
イーグル・ライトウエイトGT Eタイプ(英国仕様)

全幅は少し狭い方が好み。一般道で、より楽しめる。サスペンションは4輪ともに独立懸架式で、ディスクブレーキは必須だろう。

こんな条件が当てはまるクルマの1つが、1960年代のジャガーEタイプ。新車当時の状態を保っていれば、一般道では魅力的なドライブを味わる。しかし、最高というわけでもない。

加速は、さほど鋭くない。減速も同様だ。舗装のコブや隆起部分を超えると、不安定になる。もし本気で攻め込んだ走りをすれば、壊れてしまう可能性も充分にある。

一方で、今日的な条件に合わせて設計された、ジャガーEタイプがあったらどうだろう。現代の工業精度で細部までこだわり抜かれ、量産車のように運転に興じれる、普通のEタイプがあったのなら。

そんな願いを、強い情熱で叶えようとすれば、イーグル・ライトウエイトGTが生まれるのだろう。ただのレストモッドではない。このイーグル・ライトウエイトは、突出して特別だ。

日本の読者にとって、イーグルというブランドは聞き慣れないものかもしれないが。

見た目はEタイプでも、中身は別物

英国での価格は、80万ポンド(1億1200万円)以上。納車待ちは1年半以上。職人が、延べ8500時間もの工数をかけて制作する。そもそも、ベースとなるドナー車両をイーグルが見つけなければいけない。

手持ちのEタイプがあったとしても、イーグルへは提供できない。想像していた以上に、状態の悪いものが多かった、というのがその理由。

イーグル・ライトウエイトGT Eタイプ(英国仕様)
イーグル・ライトウエイトGT Eタイプ(英国仕様)

1960年代の始め、とても軽量なEタイプ・ライトウェイト・レーサーは、裕福な顧客のために少量が生産された。状態の良いクルマが少ないと聞いても、不思議ではない。

ただし、イーグル・ライトウエイトGTは、どのEタイプともボディパネルを共有していない。イーグル社の職人によって、ボディはアルミニウムから手打ちで成形される。あまりの美しさに、ひと目見た瞬間、思わず笑みがこぼれてしまった。

メカニズム的には、大きくは変更されていない。エンジンはXK由来の直列6気筒。だがイーグルの手による、アルミニウム製のブロックに置き換えられている。

最高出力は、限界値までなら好きに設定できる。今回の試乗車は排気量が4.7Lもあり、ウェーバー製のキャブレターが混合気を送り、およそ385psを発揮している。もとのEタイプより、100ps以上も強力だ。

もしキャブレターではなくインジェクションが好みなら、変更もできる。

トランスミッションも、イーグル社製のもの。4速ではなく、5速だ。変速フィーリングは遅く、重い。Eタイプのものと似ている。

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