カワイイ500のお兄さん フィアット600と600e(1) HVかEV選べるハードをチェック

公開 : 2025.12.15 18:05

HVかEVを選べる600 500へ通じるボディの可愛さ 広い車内に高めの視点 最高水準に扱いやすい車載機能 乗り心地はソフト側 小気味良いコーナリング 目立った弱点なし UK編集部が試乗

マイルドHVかバッテリーEVを選べる600

フィアット・グランデ・パンダよりひと回り大きい、フィアット600。1950年代の初代のように、500のお兄さん的モデルといえる。500を気に入ってきた既存オーナーが、クラスアップするのに好適なフィアットだろう。

全長4171mm、全幅1781mmというサイズを持ち、プラットフォームはステランティス・グループのe-CMP2。500と同じく、600にも1.2Lマイルド・ハイブリッド版とバッテリーEV版が用意され、多様なニーズへ対応する。

フィアット600 1.2ハイブリッド(英国仕様)
フィアット600 1.2ハイブリッド(英国仕様)

実は、ホイールベースは技術を共有するジープアベンジャーと同じ。1523mmという全高も、5mmしか違わない。

ハイブリッドは、1.2L 3気筒ターボエンジンに電圧48Vで稼働する電気モーターが組まれ、トランスミッションは6速デュアルクラッチ・オートマティック。駆動用バッテリーは0.89kWhの容量で、最高出力は101psか135psが選べる。

500へ通じる可愛さ 随所に散りばめられたロゴ

バッテリーEV版は600eを名乗り、パワートレインはプジョーe-308と同じ前輪駆動。駆動用モーターは156psを発揮し、バッテリーは54kWhある。同価格帯のライバルと比べると、馬力や持久力は若干物足りないかもしれない。

そのかわり、車重は1520kgと軽量。例えば、同クラスのスマート#1より300kg軽い。サスペンションは、前がストラットで、後ろがトーションビーム。高効率なヒートポンプ式エアコンが、標準装備される。

フィアット600 1.2ハイブリッド(英国仕様)
フィアット600 1.2ハイブリッド(英国仕様)

スタイリングは、500へ通じる可愛らしいもの。丸みを帯びたフォルムと、リング状のヘッドライトが特徴で、表情はアニメのキャラクターのよう。600のロゴが、随所に散りばめられている。

ボディカラーの選択肢は少なめ。もう少し、パーソナライゼーションできて良い。ステランティス・グループの前CEO、カルロス・タバレス氏の影響の名残といえる。

広い車内に高めの視点 アベンジャーと内装は共有

車内空間はライバルより余裕があり、前席側は身長の高い大人でも広く感じるはず。360Lある荷室も、大きい側にある。後席側は、クラス相応だが。

バッテリーが敷かれる影響でフロアが高く、運転席からの目線も高め。視界は広い。ポップにエンボス加工されたシートは、小ぶりながら調整域が広く、快適な姿勢を探しやすい。足元の空間は、若干狭く感じられる。

フィアット600 1.2ハイブリッド(英国仕様)
フィアット600 1.2ハイブリッド(英国仕様)

メーター用モニターのカウルは600専用ながら、ダッシュボードは、上面を除いてアベンジャーと同じデザイン。大きな収納の付いた、センターコンソールも同様。エアコンの操作パネルやウインカーレバー、ステアリングホイール上のボタン類も。

ステランティス・グループの一員として、有望な製品戦略を立てるうえで、避けられないことといえる。フィアットが主張するイタリアン・コクピット感が強いわけではないが、アベンジャーと見比べたとしても、マイナスの印象は抱きにくいはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フィアット600と600eの前後関係

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