VW Tロックに対抗 キア新型『セルトス』欧州初導入 世界的なベストセラーSUV、販路拡大
公開 : 2025.12.17 17:05
キアの人気SUV『セルトス』がフルモデルチェンジし、欧州市場にも初めて導入されることが決定しました。「表現力豊か」なモデルと位置付けられ、タフな外観と充実した標準装備を携えてシェア獲得を狙います。
タフなデザインの人気SUV
キアは、2代目となる新型『セルトス(Seltos)』を発表した。アジアや北米で人気の高いコンパクトSUVで、2026年に欧州でも初めて販売される予定だ。
ボディサイズは全長4430mm、全幅1830mm、全高1600mm。既存の『スポーテージ』よりやや小さく、「表現力豊か」なモデルとして位置付けられている。8月に新型が発表されたフォルクスワーゲンTロックと競合することになるだろう。

アイスバーググリーンやマグマレッドなど派手なカラーバリエーションを揃え、軽度のオフロード走行にも対応する。
新型セルトスはスキッドプレートを備えるタフなデザインを採用し、四輪駆動も選択可能だ。四輪駆動モデルにはマルチリンク式リアサスペンションが装備される。
プラットフォームは『ニロ』や『コナ』と同じK3を採用。パワートレインは最高出力150psの2.0L自然吸気ガソリンと1.6Lターボガソリンが用意される。後者は180psと6速MT、または195psと8速ATの組み合わせとなる。
2026年にはハイブリッドモデルも登場する予定だ。ニロと同様、1.6Lエンジンに電気モーターを組み合わせたパワートレイン(141ps)の採用が予想される。
キアはこうしたバリエーションについて「グローバル市場の多様なニーズに応える」と述べた。英国仕様の詳細は未確定だが、排出ガス規制が厳しいことから2.0L自然吸気モデルの投入は難しいだろう。
充実装備のプレミアム仕様
欧州と英国では初めての販売となるため、装備内容にも力を入れている。12.3インチのインフォテインメント・スクリーン、サンルーフ、リクライニング機能付きの2列目シート、ヘッドアップディスプレイを標準装備する。これは他の地域と比べて、欧州市場におけるプレミアム装備への需要が高いためだ。また、536Lのトランク容量を備えている。
2019年に発売されたセルトスは、特にメキシコとインドでキアのベストセラー車の1つとなった。北米、オーストラリア、南アフリカなどでも販売されてきたが、欧州連合(EU)の厳しい安全規制および排出ガス規制を満たさなかったため、欧州や英国ではこれまで販売されていなかった。

キアのホ・ソンソンCEOはセルトスについて「スポーテージと同様、グローバル戦略上最も重要な車種の1つ」だと述べている。スポーテージは2025年だけで50万台以上を売り上げた人気モデルである。
同氏は、「欧州市場でスポーテージを年間15万台以上販売している現状を踏まえ、セルトス導入の大きな機会があると判断しました」と述べ、欧州でのセルトスの年間販売目標を約6万台と設定していることを明かした。
サイズが近いことから、スポーテージやニロの販売を食い合う懸念はないかとの記者の問いに対し、ホ・ソンソン氏は次のように答えた。
「ニロは本質的に燃費効率を追求して開発されたハイブリッド車です。一方、セルトスのハイブリッドはニロと似たパワートレインを使用しますが、セルトスの顧客層は本物のSUV製品を求めています。そのため、セルトスのターゲット層は少し異なると考えています」
「セルトスとスポーテージはまったく異なるセグメントであり、両車の間で売上を奪い合うことは心配していません」
セルトスの発売時期や価格は未発表だが、来年早々に確定する見込みだ。英国価格はニロやスポーテージと同様に3万ポンド(約620万円)前後からとなる可能性が高い。

















