【違うクルマなのに、じつはベースが一緒!?】プラットフォーム共通化 土台が同じでも、乗り味が違うことも

公開 : 2020.11.04 11:52  更新 : 2021.10.22 10:14

「共通」「新開発」と見解が分かれる

ダイハツは車両のサイズに応じて3種類を設けた。

それでも衝突時の衝撃吸収構造、走行安定性の確保、室内スペースの取り方など、開発に際しての考え方は共通化されている。

きわめて大雑把な表現をすれば、主な違いはサイズだけなので、共通のプラットフォームを使うのと同様のコスト低減効果が得られる。

マツダにも同様のことが当てはまる。

マツダ2(旧デミオ)とマツダ6(旧アテンザ)に使われるプラットフォームは、ボディサイズに応じて異なるが、考え方と開発手法は「スカイアクティブシャシー」で共通だ。

このようにプラットフォームについては、共通化を含めて、さまざまな見方が成り立つ。

そのために同じ車種に関しても、開発者によって見解が異なる場合がある。

「プラットフォームは従来型と共通です」とコメントされたり、あるいは「新たに設計しました」と説明されるのだ。

見解が分かれる場合、サスペンションのみを新開発にしていることが多い。ボディの底面部分は共通で、ストラットやダブルウイッシュボーンは新開発だから、「共通」と「新開発」という2つの見解が生まれる。

後者の場合、機能を大幅に刷新したから新開発と考えているわけだ。

三菱、同一プラットフォームでも個性

今までのクルマを振り返ると、共通のプラットフォームを使って、運転感覚も似通っている車種は少なくない。

マツダ6とCX-5は、セダン&ワゴンとSUVだが、運転感覚は似ている。峠道などを走ると、両車ともにボディの前側を少し下げた姿勢を取りながら、車両を内側へ積極的に回り込ませる。

マツダ6
マツダ6    マツダ

ただしそれは、プラットフォームの素性や共通化というより、セッティングの仕方によるところが大きい。

最近のクルマとしてはグリップバランスが若干前輪寄りで、マツダ車の運転感覚に統一性を持たせた。

逆のパターンにはアウトランダーがある。先代(初代)アウトランダーは、峠道などで良く曲がる代わりに、後輪の接地性は少し足りなかった。

これに比べて現行型は、共通のプラットフォームを使ってホイールベースも同じなのに、操舵に対する反応は少し穏やかになって後輪の接地性を高めた。

この違いについて開発者に尋ねると「先代型はスポーティ感覚を追求したが、現行型は後輪の接地性と安定性を高めて、走りのバランスを整えた」という。

つまりセッティングの違いだ。

アウトランダーは現行型になって安定方向に進化したが、エクリプス・クロスは方向性が違う。

プラットフォームとホイールベースは新旧アウトランダーと共通だが、新型アウトランダーよりも機敏に良く曲がる。

相対的に後輪の接地性は下がり、先代アウトランダーのスポーティ感覚に少し戻した印象だ。

このように三菱では、プラットフォームやホイールベースをRVRまで含めて複数の車種で共通化しながら、クルマの性格に応じていろいろな味付けをしている。

プラットフォームが共通だから、運転感覚まで同様になるとは限らない。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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