新型 フォルクスワーゲンTロック(2) 約30年前の古き良きブランド体験と重なる 同エンジンのアウディQ3へ勝る加速力

公開 : 2026.06.30 18:10

潤沢な予算を伺わせる進化を遂げた、新型 フォルクスワーゲンTロック。1.5Lか2.0Lエンジンのハイブリッドで、多くのドライバーが共感できる操縦性を獲得し、上質な内装も強みです。UK編集部が試乗します。

同エンジンのアウディQ3へ勝る加速力

2代目へ交代した、フォルクスワーゲンTロック。試乗車は1.5L 4気筒マイルド・ハイブリッドの1.5 eTSIで、スターター・ジェネレーター(ISG)が載るシンプルな構成といえる。そのかわり、パワートレインの印象はとても自然で直観的だ。

1.5Lガソリンターボを、ISGが5.6kg-mのトルクでアシストし、低域から力強い。回転数が上昇するほどノイズは大きくなり、それまでの洗練性は薄れ、パワーの伸びも良くはない。だが、ファミリークロスオーバーとして充分な動力性能だろう。

フォルクスワーゲンTロック 1.5 eTSI 150ライフ(英国仕様)
フォルクスワーゲンTロック 1.5 eTSI 150ライフ(英国仕様)

0-100km/h加速は、実際の計測で9.1秒。約50km/hから110km/hの加速は、8.0秒と不満なし。車重はタンク内のガソリンが半分ほどで1425kgと軽く、2025年に計測した、同エンジンのアウディQ3へ勝るタイムといえる。

エンジンには、軽負荷時に2気筒を休止させるシステムを実装。惰性走行時には、積極的に回転が止まる。いずれも滑らかで静かに制御され、気になりにくい。センサーを活用し、ISGでの電気エネルギーの回生も予測的に行われるという。

多くのドライバーが共感できる絶妙な操縦性

ブレーキペダルを強く踏むと回生機能が動作し、僅かに制動力の立ち上がりが鈍く感じられる場面があった。これは、7速デュアルクラッチATやバッテリーの状態によって変化もする。すぐに慣れる範囲ではあるが。

ステアリングホイールは適度な重み付けで、手応えをしっかり伴う。フロントノーズの反応には落ち着きがあり、カーブでは意図通り正確なライン取りが可能。優れた姿勢制御を披露し、安定性も充分に優れる。

フォルクスワーゲンTロック 1.5 eTSI 150ライフ(英国仕様)
フォルクスワーゲンTロック 1.5 eTSI 150ライフ(英国仕様)

グリップ力やコーナリング性能では、マツダCX-30の方が一枚上手ながら、多くのドライバーが共感できる絶妙な操縦性のバランスにある。自然で信頼感を抱きやすく、気持ちを高ぶらせることはなくても、運転しやすい。

車線変更に対応した高度な運転支援

試乗車は17インチ・アルミホイールを履き、タイヤのサイドウォールは厚めで、乗り心地は概ね良好だった。路面からの入力を見事に均すほどの処理能力ではなく、クラス最高水準の快適性とまでは呼べないとしても。

英国仕様の場合、R-ライン・グレードを指定すればアダプティブダンパーも選べる。18インチ・ホイールと組み合わせることで、より洗練された乗り心地を得られる様子。

フォルクスワーゲンTロック 1.5 eTSI 150ライフ(英国仕様)
フォルクスワーゲンTロック 1.5 eTSI 150ライフ(英国仕様)

運転支援システムは、車線変更にも対応した高度な内容。スマートフォンで遠隔操作できる、駐車アシストも実装する。アダプティブ・クルーズコントロールなどは、効果的に動作していた。やや過敏なドライバー監視など、不要な機能は簡単にオフにできる。

燃費は、高速道路の巡航で16.0km/L、市街地中心で17.1km/Lとまずまず。CX-30やミニ・カントリーマン Cなどを僅かに上回った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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