【どこか遠い世界?】いまEV(電気自動車)に乗るってどうなのか メルセデス・ベンツEQC試乗記

公開 : 2021.01.01 17:45  更新 : 2021.10.09 22:33

メルセデス・ベンツEQCの試乗記です。ピュアEVは、話題になるけれど、どこか遠い世界に感じているひと、多いのでは? 実際に乗ってみました。

ピュアEV、どこか遠い世界の話……

photo:Hidenori Hanamura(花村英典)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

EQCメルセデス・ベンツ初のピュアEVとして2019年にデビューしている。

「あぁ、ピュアEVね」。読者の中にはまだ電気自動車に触れたことがなくても、なんとなくお腹一杯になっている人もいると思う。

メルセデス・ベンツEQC 400
メルセデス・ベンツEQC 400

ピュアEVの新車、もしくは周辺事情に関する情報は巷に溢れている。

「欧州の燃費・排気ガス規制強化でEV化必至!」とか、「イギリスは2040年としていたガソリン/ディーゼル新車の販売禁止を5年前倒し!」、「カリフォルニア州が2035年までに州内で販売される新車をゼロエミッションビークルにすると宣言。周辺の州も賛同!」云々……。

なんて言われても、結局のところココ日本に住んで、今までと同じようにガソリンスタンドで給油する日々を送っているだけでは、なかなか「時代が変わる」という実感が湧いてこないのが実情だろう。

消費者のみならず、販売している側だってそう思っているに違いないのだ。

「最近急にEQCの貸し出しが増えました。ライバルが登場したからでしょうか?」とメルセデスの広報車担当氏。

そう、マスコミだって比較記事の計画でもなければ、わざわざ電気自動車を借りたりはしないのだ。

と思ったら、今回は単独の試乗である。テーマとしては、EQCを通して視る、2021年直前ピュアEV雑感? そんなところだろうか。

アプローチはそこそこ保守的に(?)

昨今、EQCの広報車を忙しくしているのはアウディeトロン・スポーツバックだ。

その見た目はアウディのガソリン車に酷似している。

メルセデス・ベンツEQC 400
メルセデス・ベンツEQC 400

それに比べればEQCは、ツルンとフラットなスタイリングや青いラインが入ったホイールなど、EVらしい近未来感を漂わせている。

シャシーをカーボンで新造し、近未来観バリバリ。でも今日的には「早まった感」のあるBMW i3と比べると、GLCと同じ生産ラインから生まれるEQCのアプローチはかなり保守的といえる。

走りもいい意味で保守的。あらゆる面でガソリン車との差異が小さい。

EQCは2.5tもあるので、そのドライブフィールは例え1人乗りでも5名乗車しているくらいの重みが感じられる。

床下に敷き詰められたバッテリーとエアサスのおかげでロールは徹底的に抑え込まれているからだ。

ガソリン車のメルセデスに当てはめると、EとかSクラス的な重厚さがある。

操作系も若干進歩的なデザインだが、現行メルセデスと同じ感覚で扱える。

回生とか電費といったEV専門用語を使わなければ、クルマに全く興味のない女性でも簡単に動かすことができ、「これいいクルマね」と直感できるはず。

以前は比較対象が少なかったので、EVにメーカーの個性が宿るのか半信半疑だったが、EQCは徹頭徹尾メルセデスなのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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