【V8マスタングを残すために】フォード・マスタング・マッハEへ試乗 最大609kmの純EV 後編

公開 : 2021.01.01 19:05

自動車を民主化させたフォードにとって、歴史的なモデルとなるマスタング・マッハEへいよいよ試乗。マスタングという名前にふわさしい内容なのか、電気自動車を民主化させるだけの能力は備えているのか、英国編集部が試乗しました。

もくじ

比較的軽量なボディに広い車内空間
EVとしては味わいの濃いシャシー
現実的な環境では354kmから482km
多くの人に受け入れてもらえる純EV
フォード・マスタング・マッハE エクステンドレンジAWD(欧州仕様)のスペック

比較的軽量なボディに広い車内空間

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
新しいマスタング・マッハEは、このクラスの純EVとしては比較的軽量。パッケージングもよく考えられている。ベースのプラットフォームは、フォーカスやクーガなどと共通のGE2と呼ばれるもの。金属と複合素材を適材適所で用いている。

シングルモーターで後輪駆動となるエントリーグレードの場合、車重は1900kgを切る。それでいて、ポールスター2と同等のバッテリー容量を備える。試乗車はツインモーターと大容量バッテリーを搭載するミドルグレードだったが、それでも軽い方だ。

フォード・マスタング・マッハE エクステンドレンジAWD(欧州仕様)
フォード・マスタング・マッハE エクステンドレンジAWD(欧州仕様)

ボディには大人5名が座れるシートと、前後2か所の荷室がある。車内空間は、クーペのように傾斜するルーフラインから想像する以上に広い。

リアシートの後ろには、サイドウインドウ下で400Lの荷室容量がある。フロントのボンネット内にも81Lの空間があり、排水口の付いたプラスティック製ボックスがはまっている。汚れた充電ケーブルのほか、ブーツなどが仕舞えて掃除も簡単。

ダッシュボードは、マスタング伝統のダブルバブル・デザインが与えられているが、それ以外はまったく新しい。ただし、ステアリングコラムやスイッチ類などの多くは、既存のフォード製モデルからの流用となる。

素材は特に上質ではないものの、金額に見合ったものだとは思う。レザーは光沢があるが、パネル類の組み付けは少し甘い部分もある。

競合モデルより25%も価格が安く、長い航続距離を得られるのなら、上質な素材にこだわるだろうか。少なくとも、商談をやめるほどではない。

EVとしては味わいの濃いシャシー

ドライバーの正面に来るのは、モニター式のデジタル・メーターパネル。ダッシュボードの中央には、16インチもある縦長のインフォテインメント用モニターが鎮座する。グレードに関わらず、標準装備だ。

テスラのように、実際に押せるボタンがすべて消えたわけではない。ウェブブラウザもなければ自動運転もないが、むしろ好ましい。無線通信でシステムをアップデートできる。

フォード・マスタング・マッハE エクステンドレンジAWD(欧州仕様)
フォード・マスタング・マッハE エクステンドレンジAWD(欧州仕様)

走り出してみよう。ドライブモードには、アクティブ、ウイスパー、アンテイムド(野性的)という変わった名前がついている。ワンペダルドライブはオン・オフの切り替えができ、回生ブレーキの強さはドライブモードで変化する。

スピーカーから聞こえてくる、合成音による走行時のサウンドも変更が可能。ドライブモードによって音質も変化する。SF映画の宇宙船や、テルミンのような電子的な響きではなく、穏やかに喉を鳴らすV8エンジンのノイズに似せてある。

試乗車はミドルグレードだったが、高速道路の速度域まで極めて活発。テスラほどのパンチ力はないものの、扱いやすく滑らかだ。反面、レスポンスとトルクに慣れてしまうと、パワートレインから感じる魅力は多くはない。今の純EVではいつものことだ。

一方でシャシーは、今どきの電気自動車としては味わいが大きい。操舵感には手応えがあり、一定した応答速度と充分なフィードバックがある。重み付けも良い。

 

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