メルセデス・ベンツ新型『GLC』発表 先進技術を多数採用 BMWに対抗、航続距離700km超へ

公開 : 2025.09.08 18:35

メルセデス・ベンツが新型EV『GLC with EQテクノロジー』を発表しました。EQCの実質的な後継車で、新開発のプラットフォームをベースに800Vシステムを採用し、急速充電に対応。内装も刷新されました。

人気SUVの次世代EV版が登場

メルセデス・ベンツは、『GLC』の新しいEVモデルを欧州で発表した。来年初頭に発売され、「史上最大の製品攻勢」と呼ばれる展開の幕開けとなる。

『GLC with EQテクノロジー(GLC with EQ Technology)』と名付けられたこのSUVは、実質的にEQCの後継車となる。EQCが独自の名称と外観を採用していたのに対し、新型では既存の内燃機関モデルと名称およびデザイン言語を共有する。ただし、両モデルは異なるプラットフォームを採用している。

ミュンヘン・モーターショーで公開されたメルセデス・ベンツGLC with EQテクノロジー
ミュンヘン・モーターショーで公開されたメルセデス・ベンツGLC with EQテクノロジー    AUTOCAR

GLCはメルセデス・ベンツのベストセラー車であり、オラ・ケレニウスCEOが同社にとって「最重要」と位置付けるプレミアムSUVセグメントに属する。

EVモデルは新開発のMB.EAプラットフォームを採用。中型~大型車向けに設計されたもので、急速充電を可能にする800V電気アーキテクチャーを備えている。

さらに、インフォテインメント・システムのMB.OSの最新バージョンを搭載する。

「GLCらしい」デザイン

GLC with EQテクノロジーは完全新設計だが、既存のGLCによく似たデザインになっているとケレニウス氏は説明する。「これが次世代の内燃機関GLCだと言われても、『そうだな、GLCらしい見た目だから当然の進化だ』と思うでしょう」

フロントはEV専用に新開発した『アイコニックグリル』が特徴だ。従来のEVモデルより大型で直立したデザインとなっている。

ミュンヘン・モーターショーで公開されたメルセデス・ベンツGLC with EQテクノロジー
ミュンヘン・モーターショーで公開されたメルセデス・ベンツGLC with EQテクノロジー    AUTOCAR

GLC with EQテクノロジーの全長は内燃機関版GLCとほぼ同等だが、ホイールベースは2972mmと80mm延長。現行のEQCと比べても約100mm長い。

ケレニウス氏はホイールベース延長の理由について「可能だから」とし、さらに「車内空間を増やすことができるため」と述べた。

内燃機関版GLCと比較すると、前後席の足元スペースと頭上空間が広くなり、さらに570Lのトランクと128Lの大容量フロントトランクも備える。

1回の充電で713km走行可能

パワートレインの出力バリエーションは全5種類用意されるが、まず最高出力490psの最上位モデル『400』が発売される。デュアルモーターを採用し、リアに永久磁石同期モーター、フロントには不要時に切り離し可能なモーターを搭載する。

さらに2速トランスミッションを採用し、11:1および5:1のギア比で加速性能と効率性の両立を図っている。

ミュンヘン・モーターショーで公開されたメルセデス・ベンツGLC with EQテクノロジー
ミュンヘン・モーターショーで公開されたメルセデス・ベンツGLC with EQテクノロジー    AUTOCAR

パワートレインがリアバイアス(後輪偏重)の設定になっていることについて、ケレニウス氏は「性能を重視するクルマには望ましい特性であり、EVなら簡単に得られるメリットです」と述べた。

バッテリーは94kWhの大容量ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)で、GLC 400 with EQテクノロジーの航続距離は最大713km(暫定値)とされている。

800Vシステムにより、最大330kWの急速充電に対応している。新型CLA with EQテクノロジーと同様に、400Vの公共充電器(欧州で最も一般的なタイプ)を利用できるよう、DCコンバーターが「国ごとに」用意されるという。

サスペンションは前後ともマルチリンク式を採用した。オプションのエアサスペンションを装着すると、高速道路走行時に車高を下げて空気抵抗を減らし、航続距離を伸ばせるという。また、オプションで後輪操舵システムも選択可能だ。

回生ブレーキと摩擦ブレーキを統合した「ワンボックス」ブレーキシステムも特徴の1つだ。4段階の回生レベルが設定され、最も強力な設定では約300kWのエネルギー回収が可能とされる。

オフロード走行用の「透明ボンネット」機能をはじめ、一連の運転支援システムも装備される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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