【軽の電動化、本当に受入れられる?】遅くとも2030年代半ば義務化が確定 メーカー/消費者どう対応

公開 : 2021.01.12 05:45  更新 : 2021.01.28 14:45

国が示したグリーン成長戦略で、遅くとも2030年中頃まで乗用車の電動化が義務化され、その中に軽が含まれます。メーカーやユーザーはどう対応するのでしょうか?

軽自動車も電動化対象に

text:Kenji Momota(桃田健史)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

経済産業省が2020年12月25日に公表した、グリーン成長戦略の中に軽自動車の電動化が盛り込まれた。

グリーン成長戦略は、菅政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」を実現するための中心的な政策だ。

三菱アイ・ミーブ
三菱アイ・ミーブ

カーボンニュートラルでは、電力、産業、運輸などの分野で排出されるCO2(二酸化炭素)量と、森林など自然界で吸収されるCO2量が相殺されて、事実上ゼロになることを目指す。

CO2は地球温暖化の主な原因であるとの見解を示す有識者が多く、2015年12月に仏パリで開催された、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)では、地球全体での今後の温暖化に関する共通認識としてパリ協定が採択されている。

こうした中、安倍政権でもCO2排出量削減に向けて、洋上発電の拡充や、燃料電池車などで水素社会を目指す方針などを示してきた。 

それが2010年代後半になると、自動車の電動化に関して新たな潮流である、ESG投資が一気に拡大した。

ESG投資とは、従来の財務内容を主体とするだけではなく、環境、社会性、ガバナンス(企業としての統治機能)が企業への投資対象となることを指す。EGS投資の柱としてEVなどの自動車電動化に注目が集まっている。

そのため世界的な自動車電動化の動きを鑑み、グリーン成長戦略に軽自動車が含まれた。これをメーカーはどう見るのか?

電動化で先行するスズキだが……

現在、日本で軽自動車を自社製造しているのは、スズキ、ダイハツホンダ三菱の4社だ。

また、OEM(相手先ブランド販売)という形で、トヨタスバルがダイハツから、マツダはスズキから供給を受けている。日産については三菱との軽自動車に特化した共同開発企業NMKVがあり、日産車については日産が商品企画し、製造を三菱が行っている。

スズキ・ソリオ(マイルド・ハイブリッド)
スズキ・ソリオ(マイルド・ハイブリッド)    スズキ

電動化については、スズキがマイルド・ハイブリッドとしてISG(モーター機能付き発電機)とリチウムイオン二次電池を搭載している。また、先代ソリオでは、EV走行も可能な、いわゆるストロング・ハイブリッド車もラインナップしていた。

スズキは、こうした電動化でのアドバンテージを、今回のグリーン成長戦略を追い風としてさらに拡大するのだろうか?

グリーン成長戦略が公表される1ケ月前、新型ソリオのオンライン発表の際、筆者はスズキの鈴木俊宏社長に「なぜ、新型ソリオはこれまでのストロング・ハイブリッドを廃止して、マイルド・ハイブリッド一本化としたのか。また、昨今のESG投資の拡大を踏まえて、今後の電動化戦略をどうみるか」と聞いた。

これに対して鈴木社長は「販売実績から、ソリオではマイルド・ハイブリッド一本化とした」と答えた。

さらに、非常に興味深いことを紹介してくれた……。

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