【新章突入第3回!連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#29 サニーカリフォルニアは紙のように軽かった!

公開 : 2026.03.06 11:45

自動車はロマンだ! モータージャーナリストであり大乗フェラーリ教開祖の顔を持つ清水草一が『最後の自動車ロマン』をテーマに執筆する、隔週金曜日掲載の連載です。第29回は『サニーカリフォルニアは紙のように軽かった!』を語ります。

不人気車の交換試乗!

不人気車マニアの遠藤イヅル氏と私とによる、お互いの不人気車の交換試乗。

まずは遠藤氏が我が大貴族号こと先代マセラティクアトロポルテに乗り(編集部注:遠藤氏の試乗記はご本人の連載で掲載予定です)、続いて私が遠藤氏のB11型日産サニーカリフォルニアに乗ることになった。

昭和ではなく令和の光景です!
昭和ではなく令和の光景です!    山本佳吾

サニーの運転席に座った瞬間、懐かしさが込み上げてきた。このシンプルなダッシュボードや、直線的な輪郭のインパネ。どことなく、自分が乗っていた初代日産ガゼールに似ている。1980年代の国産車って、だいたいこんな感じだったよな。ああ、ふるさとの香りだ。

オレ「いやー、この内装、いかにも地味でいいですね」

遠藤氏「そうでしょう? この感じがたまらないです」

キュルキュルとエンジンをかけて発進だ。

オレ「オートマは3速ですよね?」

遠藤氏「もちろん3速です」

当時、オーバードライブ付きの4速ATなんて高級車だけだったが、それにしても、3速ATというのは地味だ。これがMTなら、いかに地味なB11型サニーでも、それなりに人気がありそうだが、遠藤氏は徹底的にそういう要素を避けているのかもしれない。涙が出る。

とてつもない重量感の差!

地味なATセレクター(これまた涙)をDに入れ、発進する。

最初に感じたのは、大貴族号とサニーとの、とてつもない重量感の差だった。

最初に感じたのは、大貴族号とサニーとの、とてつもない重量感の差だった。
最初に感じたのは、大貴族号とサニーとの、とてつもない重量感の差だった。    山本佳吾

大貴族号は重い。2トンという車両重量は、現代ではそれほど重いほうでもなくなったが、4.2リッターV8は低速トルクが薄いので、鉄のカタマリのように重く感じる。

それに比べてサニーはすべてが軽い(サニーカリフォルニアSGL 3ATの車両重量は890kg)。ボディは紙でできてるんじゃないか? というくらい軽い。おかげで走り出しは軽快だ。

しかし、そこから先、時速20km/hくらいから上はだいぶ遅かった。いや、だいぶというより非常に。

オレ「うーん、遅いですね!」

遠藤氏「遅いです(笑)。メチャメチャ遅いです。高速では7~80キロで流す感じです」

エンジンは1.5リッターのキャブ(グロス表示で85馬力、ネットでは73馬力程度)。1980年代はごく普通の動力性能だったはずだが、今乗ると、かなり最大級に遅い部類に入る。

でも、ウチのダイハツタント(ノンターボの介護車両)に比べると、排気量の余裕が違うので、全体にトルクは太い。ミッションは3速ATなので、アクセルを踏み込んでもCVTみたいに回転が高まることもなく、ひたすらほのぼの『ブウ~~~』と走る。

そもそもこのクルマ、ウチのタントよりぜんぜん軽いんだもんな。なにしろボディが紙でできてる(ように感じる)から!

記事に関わった人々

  • 執筆

    清水草一

    Souichi Shimizu

    1962年生まれ。慶応義塾大学卒業後、集英社で編集者して活躍した後、フリーランスのモータージャーナリストに。フェラーリの魅力を広めるべく『大乗フェラーリ教開祖』としても活動し、中古フェラーリを10台以上乗り継いでいる。多くの輸入中古車も乗り継ぎ、現在はプジョー508を所有する。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

清水草一の自動車ラスト・ロマンの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事