【イエローバードの再来以上】ルーフCTR アニバーサリーへ試乗 1200kgに710ps 前編

公開 : 2021.02.22 08:25

1980年代の伝説、イエローバードの再来といえるルーフCTR。カーボン製シャシーとボディを備える、最高速度375km/hのモンスターを英国編集部が評価しました。

月に3台ペースで作られるルーフCTR

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
筆者は今でも、マクラーレンF1の試乗レポートの内容を覚えている。ギアは6速、320km/hで走行中にV型12気筒のスロットルボディを全開にすると、F1は再び加速を始めた。驚きと賞賛の内容だった。

史上最高のスーパーカーにまつわる話題は事欠かない。空気の壁が立ちはだかる中で、強力な加速力に浸るというのは、どんな体験だったのだろう。ドライバーのアドレナリンが沸き立つさまは、実際に体験しなければわからない。

ルーフCTR アニバーサリー(欧州仕様)
ルーフCTR アニバーサリー(欧州仕様)

昔の記憶でスタートしたが、AUTOCARはルーフCTR アニバーサリーへの試乗機会を得た。ドイツ中部のプファッフェンハウゼンを拠点とするルーフ社が、月に3台のペースで組み立てているクルマだ。

黄色いポルシェ911の姿を見て、かつてのルーフCTR、イエローバードを思い出す読者もいるだろう。1987年、342km/hの最高速を誇る最速のロードカーだった。

ルーフ社による新モデルの話を聞いて、じっとしてはいられない。新しいCTRは50台が作られる予定で、目がくらむほどの価格が付いている。

内容は興味深い。ルーフ社といえば、クラシック・ポルシェや最新の911をチューニングし、洗練された高速マシンを生み出すブランドだった。そのアプローチから、確実な一歩を踏み出している。

ハンス・メツガーが設計を手掛けた3.6Lフラット6のエンジンブロック以外、ボルシェ由来の部分はCTRにほとんどない。シャシーも完全なオリジナルだという。

ボディもシャシーもカーボン製のオリジナル

CTR アニバーサリーの場合、ブラッサム・イエローのボディと5スポークのホイール、フレアフェンダーのボディは、1987年のルーフ・イエローバードを彷彿とさせる。しかし、中身はまったくの別物だ。

過去には993型911をベースとした、527psのCTR 2なども手掛けてきた。ミドシップで700psのCTR 3は宇宙船のようなフォルムをまとい、フェラーリ・エンツォやパガーニ・ゾンダと競い合う存在だった。

ルーフCTR アニバーサリー(欧州仕様)
ルーフCTR アニバーサリー(欧州仕様)

だがCTR 2もCTR 3も、このCTRのようにイエローバードの精神を受け継ぐものではなかった。見た目はレトロな911に見えても、実態を表現するものではない。

イラストで描いたように滑らかな911風ボディは、初代アウディTTのデザイナー、フリーマン・トーマスの手によるもの。すべてカーボンファイバー製で、メカニズムも最新といっていい。

シャシーの中心をなすのは、1000万ユーロ(12億8000万円)を投じて開発されたルーフ社オリジナルのカーボンファイバー製タブ。DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)やWEC(世界耐久選手権)での経験を持つ技術者によって製造される。

このタブに、ダブルウイッシュボーン式のサスペンションを支えるスチール製のサブフレームが組み付けられる。ピッチングやスクワット、ロールなどの動きを調整できるアクティブ・ダンパーを備え、プッシュロッドで伸縮される。

細部まで美しく仕上げられている。ルーフではおなじみのフォレスト・グリーンに塗られたスプリングケースが鮮やかだ。

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