ポルシェ911 GT3 RS マンタイ(1) 世界屈指にアグレッシブなオプション 280km/hでダウンフォース1.0t以上

公開 : 2026.03.06 18:05

世界屈指にアグレッシブなオプション、911 GT3 RSの「マンタイ・キット」 無数の空力アイテムで見事な変貌 280km/hで1.0t以上のダウンフォース シルバーストンでUK編集部が効果へ迫る

ポルシェを苛立たせたマンタイの昇華能力

992型のポルシェ911 GT3 RSが、発表された時のこと。ドイツ南西部、ツッフェンハウゼンで活動する技術者の仕事は、中西部のモイシュパトへ拠点を置くレーシングチーム、マンタイによる開発を苦しませるだろうと想像した。

そもそも、GT3 RSを崇高なサーキットマシンへ昇華させる、規模の小さいマンタイ・レーシングの能力へ、ポルシェは時に苛立ってきた。GT部門を率いる、アンドレアス・プロイニンガー氏を中心に。

ポルシェ911 GT3 RS マンタイ・キット(英国仕様)
ポルシェ911 GT3 RS マンタイ・キット(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ファクトリー仕様では不可能な技術を、マンタイは911へ展開することが可能だった。巨大なリアウイングに、本気度の高いサスペンションやギリギリの車高。ポルシェのGT部門も劣らぬ技術を有していたが、量産メーカーとして認可の取得が展開を拒んだ。

本気度を知らしめる開発度のGT3 RS

だが992型「RS」の構想中に、タガが外れたのかもしれない。巨大なウイングは、ル・マンを戦う911 RSRの開発が絡んでいるのでは、と憶測した人もいたほど。

ボンネットの荷室は潰され、モータースポーツ直系といえる専用ラジエーターが鎮座。サスペンションのウイッシュボーンは、ダウンフォースを生成する断面を得ていた。本気度を知らしめる開発度といえ、複雑な認可手続きへ対応できた証拠でもあった。

ポルシェ911 GT3 RS マンタイ・キット(英国仕様)
ポルシェ911 GT3 RS マンタイ・キット(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

観察するほど、マンタイ・レーシングが手を加える余地はなさそうだった。プロイニンガーの徹底したアップグレードに、スキはないように思えた。

それでも、英国シルバーストン・サーキットのピットレーンに、最新のGT3 RS「マンタイ」は降り立った。ポルシェが過半数の株式を保有し、ニュルブルクリンクを開発拠点とする、同社のワークショップから。

無数の空力アイテムで見事な変貌ぶり

その変貌ぶりは見事。ボディのあちこちに空力アイテムが追加され、窓を塞げそうなほど大きなサイドプレートが、DRS(ドラッグ・リダクション・システム )付きの巨大なカーボン製リアウイング両端に備わる。

ラジエターの熱い気流がウイングへ導かれないよう、ルーフには何枚もフィンが並ぶ。大きく張り出すフロントスプリッターは、ステーで支持される。リアホイールにはエアロディスク。後方には、巨大なディフューザーが突き出ている。いずれもカーボン製だ。

ポルシェ911 GT3 RS マンタイ・キット(英国仕様)
ポルシェ911 GT3 RS マンタイ・キット(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

通常のGT3 RSへ組まれるビルシュタイン社製ダンパーは、専用スプリングとセットのKW社製ユニットへ置換。ポルシェが仕上げたPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント)へ統合され、ステアリングホイール上から調整できる。

ブレーキラインも専用品。タイヤは、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで10秒縮められるという、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2 Rを履く。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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