トヨタ・アクアG G’z

公開 : 2014.01.23 21:20  更新 : 2021.01.28 16:56

2012年の販売開始から売れまくっているトヨタ・アクアに小変更が加えられた。具体的には、エンジン制御やハイブリッドシステムの高効率化によって従来は35.4km/ℓだったJC08モードの燃費が37.0km/ℓまで引き上げられた。なぜ今こんな重箱の隅をつつくようなことをトヨタがするのかといえば、アクアのライバルであるホンダ・フィット・ハイブリッドが昨年後半に新型に生まれ変わり、36.4km/ℓという数値でアクアから普通乗用車の燃費世界1位の座を奪ったからである。再びトップに立ったアクアだが、当然短時間の試乗では1.6km/ℓ良くなった燃費を感じ取ることは……難しい。

燃費以外の部分では、足まわりや遮音関係が若干見直されたようで、より“アクア度”が高まった、ということになるのだと思う。タウンスピード程度で最新のアクアを試してみた印象では、直線路を走っていても4つのタイヤの接地が高まったように感じられ、ライバルのフィット・ハイブリッドよりも見た目、走りともに落ち着きが感じられた。

今回のアクア試乗会において標準モデルよりもある意味衝撃的だったのは、2013年末に追加されたGベースの“G’s”と呼ばれるモデルだった。真正面からだと、一見アクアとは分からないくらいデコレーションされたスタイリングは好き嫌いがはっきりと分かれるところだと思うが、このメーカー純正ドレスアップカーのキモは内外装に点在する専用のコスメティックな装備ではなくて、走り自体にある。外観から伺える“走り”に効きそうな部分は17インチ径のいかにも軽そうなG’s専用アルミホイールとブリヂストン・ポテンザRE050Aタイヤのみだが、ホイールハウスの内部には車高が25mmダウンされる専用チューニングのダンパー&スプリングがしっかりと仕込まれているのである。

一般的なスポーティグレードが備える走りの装備はそれくらいのものだが、G’sはなんとボディ補強までメニューに含まれている。具体的にはフロントタイヤの真後ろぐらいの車体裏に棒状のブレースが入れられている他、車体中心付近のマフラートンネルを結び付け、さらにリヤの足まわりの付け根まで到達しているU字型の補強部材と、車体後端にもレインフォースが入れられている。さらにホワイトボディの段階でサイドシルとドア開口部にもスポット増しが行われており、引き締められた足まわりをしっかり受け止めるボディが完成しているのである。1分1秒を争うトヨタ方式の工場ラインの中で、よくスポット増しなんていうレーシングガレージ的なチューニングができたものだと感心させられる。

アクアG“G’s”のコクピットは黒基調のシックな雰囲気で、外観と同じく“専用”のギミックで固められている。専用のスポーティシート(同日に試乗した新型ハリアーのそれとソックリだった)はパンチング加工されたアルカンターラをセンター部分に張り込んだ上質なもので、ダッシュパネルもアクアのシリーズ中唯一、ステッチが入ったレザー素材を張り込むなど、シックにまとめられている……と言いたいところだが、シフトノブがいただけない。標準のアクアではブルークリアーのパーツがはまっている部分に、“G’s”は赤いクリアーのそれをはめ込んでいるのだが、これがとってもチープで良くない。画竜点睛を欠く、というか達磨の目玉を描き込む際に色を間違えてしまった、みたいな感じだろうか。ともあれ、シックなインテリアが台無しである。

見た目はそれとして、走りはまさに“引き締まった”という表現があてはまり、すばらしい。ステアリングやペダルから入力した通りにクルマがはっきりと精確に動いてくれる。足まわりはもちろん硬くなっているしシートも硬質なのだけれど、無駄な動きがなく、ダンパーの動き始めからしっかり減衰があるから乗り心地自体は悪くない。ステアリングが、というのではなくクルマ全体でシャープなイメージが低速から高速まで一貫して保たれているのである。全体的に滑らかになったポロGTIみたい、と言ったら理解してもらいやすいかもしれない。

やっぱり徹底したボディ補強が効いているのだと思う。「やれば出来るじゃん!」というか、ちゃんとアクアの弱い部分をわかって作っているのだな、ということがよくわかる。ただ標準のアクアでは、ここまでやっていない(笑)、というだけなのだ。個人的には、“G’s”のデコレーティブな見た目が全く好きになれないので、このボディと足まわりはそのままに、見た目ノーマルというアクアがあったら、本当に欲しい。皮算用してみると、普通のアクアGが187万円するのに対し、アクアG“G’s”は+35万円高の222万円。なんちゅう安さだろうか。見た目の部分と走りの部分のコスト比率はもちろんわからないが、半々と考えたら、あのシャープな走りが完成するのに20万円もかからないのである。

賑やかな見た目が気に入ったら即買い。もし気に入らなかったとしても、その走りを体感してみる価値は充分にあると思う。

(吉田拓生)

トヨタ・アクアG G’z

価格 222万円
燃費 33.8km/ℓ
CO2排出量 69g/km
乾燥重量 1110kg
エンジン 直列4気筒1496cc
最高出力 100px
ギアボックス 電気式無段

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