トヨタの「GRスポーツ」、実際どう違うの? アクアとヤリス・クロスを検証 デザイン/内装編

公開 : 2023.03.28 18:32

トヨタが送り出す「GRスポーツ」のモデル達。新たに加わった「アクア」と「ヤリス・クロス」をレポートします。標準車両からどう変わったのでしょう?

レーシング活動から市販車へ

古くは「TMSC-R」だろうし、ちょっと前なら「TRD」、今なら「GAZOO Racing(GR)」。

他のプロスポーツのような有志によるクラブチーム的なイメージは強まっているが、モータースポーツにおいては実質トヨタ・ワークスである。

アクアGRスポーツ(エモーショナルレッド)
アクアGRスポーツ(エモーショナルレッド)    宮澤佳久

ただ、勝利を活動の唯一無二の原動力としている訳でもない。

例えば、水素エンジン車によるレース参加が象徴的だが、GRの活動ではレーシングフィールドで得た知見・技術の“市販車へのフィードバック”が重要であり、それを最も分かりやすく具現化したのがGRブランド車である。

GRの市販モデルは3系統で構成する。

限界性能を追求した「GRMN」を頂点として、スープラや86等が属し車体設計からスポーツカーとして開発された「GR」、そしてここで試乗したアクアとヤリスが属する「GRスポーツ」である。

やり過ぎない 薄味デザイン

「GRスポーツ」はいずれもトヨタ標準ラインナップをベースに開発され、性能面では最も穏やかなブランドである。

内外装とサス周りを専用設計とするが、搭載パワートレインのスペックはベース車と共通。なお、アクア、ヤリス・クロスともに標準系の中間グレードとなる「G」をベースに開発されている。

ヤリス・クロスGRスポーツ(ブラックマイカ×センシュアルレッドマイカ)
ヤリス・クロスGRスポーツ(ブラックマイカ×センシュアルレッドマイカ)    宮澤佳久

スポーツモデルなら走りが一番気になるところだろうが、GRスポーツのキャラを分かりやすく表しているのが内外装。スポーツモデルにありがちな「熱さ」を感じない。

例えばヤリス・クロスGRスポーツはベース車からラジエターグリルのメッシュのデザイン変更などが加えられているが、遠目には標準車と見分けが難しい。

アクアは専用バンパー等でフロントマスクを変更したので、前方からは一目瞭然だが、フレンドリーから精悍に嗜好を多少変更した程度で、攻撃的にもマッチョにも見えない。

内装/オプションをチェック

内装は、シートやステアリング等がGRスポーツ専用仕立てとなる。

スポーツシートはこれ見よがしの土手盛りもなく、乗降の邪魔にもならない。

アクアGRスポーツの内装(ブラック)
アクアGRスポーツの内装(ブラック)    宮澤佳久

さらに言えば、アクアGRスポーツは運転席イージーリターンのOP装着も可。

OP設定に関しては、ヤリス・クロスGRスポーツはベース車に比べて制限が多めだが、アクアGRスポーツでは標準系では「Z」のみに設定されるカラーHUDのOP装着も可能であり、標準系と同じ感覚でOPを選べるのも特徴である。

要するにベース車の使い勝手を損ねるような部分はない。

スポーツの演出はごく控え目であり、ちょっとスポーティ、ちょっとプレミアムくらいで抑えているのが大人っぽい雰囲気を生み出す。

元ネタを台無しにしない一工夫といった感じが、粋でもありオシャレにも思えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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