【現代のWRCマシン級】トールマン・タルボ・サンビーム・ロータスへ試乗 レストモッドで263ps

公開 : 2021.03.25 08:25  更新 : 2022.11.01 08:57

トールマン・エンジニアリング社によって、現代のWRCマシンに迫る性能を獲得したタルボ・サンビーム。英国編集部が試乗しました。

2.2LのNA 4気筒エンジンはオリジナル

text:Will Beaumont(ウィル・ボーモント)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ポロシャツの襟を立てて、サングラスを掛けてステアリングホイールを握る。クラシックなアルファ・ロメオジャガーEタイプポルシェ911でモナコの坂をすり抜ければ、1960年代の映画スター気分だ。

スピードも出るし故障の心配も不要。現代技術も導入してクラシックをレストアする、レストモッドで得られる喜びは大きい。

トールマン・タルボ・サンビーム・ロータス(英国仕様)
トールマン・タルボ・サンビーム・ロータス(英国仕様)

でも、走りたい道がモンテカルロではなく、凍結したヘアピンカーブならどうだろう。毛糸の帽子とダウンジャケットを着て。トールマン・エンジニアリング社は、そんなコンディションにもピッタリのレストモッドを完成させた。

GT3カテゴリーのレースチームであり、クラシックモデルのモータースポーツ用パーツのサプライヤーでもあり、見事なレストアも手掛ける同社。彼らの多彩な知見と技術力を融合させて、タルボ・サンビーム・ロータスを現代的によみがえらせた。

今回試乗したタルボ・サンビーム・ロータスは、レストモッドで一般的といえるシックな見た目ではない。いかにも好戦的な容姿に仕立てられている。エンジンがオリジナルのままだということも、典型的な手法とは異なる。

2.2Lの自然吸気4気筒ユニットは、タルボ・サンビームの個性を作る重要な一部。クルマには欠かせない存在として、1980年代初頭にタルボ社製のエンジンでレース経験を持つ人物、フィル・デイヴィソンにリビルドが依頼されている。

専用ダンパーにシーケンシャルMT

16バルブ・ユニットにはドライサンプ・システムが組まれ、4基のスロットルボディが取り付けられた。インジェクターは1気筒あたり2本。ダイレクトイグニッションに変更されてもいる。

その結果得られた最高出力は263ps、最大トルクは31.7kg-m。古いブロックでも、実力は侮れない。

トールマン・タルボ・サンビーム・ロータス(英国仕様)
トールマン・タルボ・サンビーム・ロータス(英国仕様)

シャシー側も抜かりはない。ボディシェルは強化され、FIA規準のロールケージが組まれ、剛性は大幅に引き上げられている。

サスペンションは、トールマン・エンジニアリング社の設計で制作された、リザーバータンク付きのナイトロン社製調整式ダンパー。GT3仕様のペダルボックスと、空気圧で動作させるシーケンシャル・トランスミッションも搭載する。

ステアリングホイールにはシフトパドルも付く。モータースポーツで磨かれた技術が目白押しだ。

価格は安くない。トールマン・エンジニアリング社にレストモッドを依頼する場合、基本価格は8万ポンド(1200万円)から。だがタルボ・サンビームに限らず、好きなクルマでも対応してくれるという。

完成したタルボ・サンビーム・ロータスのエンジンスタートは、レーシングマシンのように少し複雑。レースチームを持つだけのことはある。

15インチホイールが転がり始めれば、運転しやすいこともわかってくる。ペダルは2枚、パドルも2枚。ステアリングホイールも扱いやすい。

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