ロータス・エリーゼの興奮を徹底追求 HPE SV R500(2) 腹をくくった走りで顕になる真髄

公開 : 2026.01.27 18:10

アルミ製シャシー以外は別モノのエリーゼ、SV R500 334psを生成し1万rpmまで回るホンダのK20 S1とまったく異なる世界観 求められる操り手の本気度や技術度 UK編集部が渾身試乗

エリーゼ S1とはまったく異なる世界観

モモ社製ステアリングホイール上のボタンを押すと、HPE SV R500の2.2L 4気筒エンジンが始動。即座に、ロータス・エリーゼ S1とはまったく異なる世界観が始まる。ポルシェ911 GT3以上に、エンジンが主張してくる。

クラッチペダルを踏んで1速へ。以降は、ある程度スピードが出ていれば、アクセルペダルを軽く戻すだけでシフトアップできる。シフトダウン時は、左足ブレーキと同時に右足でアクセルをあおればOK。だが、筆者の身体にはヒール&トウが染み付いている。

HPE SV R500(英国仕様)
HPE SV R500(英国仕様)

SV R500でコースイン。最初の数周は、普段以上に集中する必要がある。LSDは硬く、タイヤが熱を持つまではアンダーステアが続き、ラインが外へ広がる。

カーボン製ブレーキは、充分温まらないと効きが弱い。とはいえ、ボディは軽くタイヤは細く、簡単にロックする。ゴムの白い煙が、足元の隙間からキャビンへ流れ込む。

求められる操り手の本気度や技術度

筆者が一番恐れるのは、シフトミスで崇高なエンジンを破裂させること。回転数の高さを考えると、一発でアウトだろう。それでも、モータースポーツ直系なフィーリングで、思わず笑顔が溢れる。ドライブトレインは、大パワーを求めている。

SV R500だけでなく、高精度でシリアスなスポーツモデルには、大抵スイートスポットと呼べる領域がある。ドライバーの操作は、単なる入力ではなく本能的になり、クルマと一体になった感覚が生まれる。

HPE SV R500(英国仕様)
HPE SV R500(英国仕様)

その領域へ到達するには、操り手の相応な本気度や技術度が求められる。しかもSV R500は、ダウンフォースに余り頼らない。シャシー番号001が振られた今回のクルマの場合は、希少性から気持ちも引けがちだ。

多くのオーナーは、運転する興奮を味わいつつも、1歩手前のところで満足してしまうのではないだろうか。最後の晩餐のように、腹をくくって操り始めた時、37万5000ポンド(約7800万円)するエリーゼの真髄が顕になる。

間違いなくユニークな運転体験

その口火を切るのは、ほぼ慣性ゼロで回るエンジン。獰猛な性格が、深く記憶へ刻まれていく。咆哮へ数秒間包まれながら、9500rpmへ引っ張り、シフトアップ。心象は極めてダイレクトでソリッド。共鳴する吸気音が甘美に重なる。

エンジンへ慣れると、サーキットを驚くほどの速さで巡っていることへ気づく。最大トルクは、8600rpmで28.2kg-m。速度は急上昇を続け、中毒症状が現れる。

HPE SV R500(英国仕様)
HPE SV R500(英国仕様)

今回のデモ車両は、HPE社を率いるダン・ウェブスター氏のお好みより、サスペンションが僅かに柔らかい。アクセルペダルの加減で、コーナリングスタンスは自在に調整できる。パワーとトラクションのバランスが素晴らしい。

常にドライバーへ優しいわけではない。恐らく、湿った路面では簡単に手に負えなくなるだろう。とはいえ、基本的な安定性は高く従順。情報豊かで反応が正確なシャシーを、操る自信は抱きやすい。運転体験は、間違いなくユニークだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

HPE SV R500の前後関係

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