時代を超越した美貌 メルセデス・ベンツ W111型カブリオレ(2) 戦後が香るフラッグシップ
公開 : 2025.04.27 17:46
フィンテールがベースのW111型クーペとカブリオレ 280 SE 3.5は220 SEbの2倍のお値段 縦に重なったバンパーとヘッドライト 戦後の雰囲気を漂わせる内装 英編集部が2台で魅力を再確認
もくじ
ー戦後間もない頃の雰囲気を漂わせる内装
ー明らかに活発で運転しやすい280 SE 3.5
ー長時間の高回転運転が想定されたM127ユニット
ーポール・ブラック氏が描き出した美しい姿
ー2台のW111型カブリオレのスペック
戦後間もない頃の雰囲気を漂わせる内装
今回は2台のW111型メルセデス・ベンツを並べてみたが、筆者はV型8気筒エンジンを積んだ280 SE 3.5カブリオレより、直列6気筒の220 SEbカブリオレの方へ共感したくなる。半値近い、最近の取引価格を抜きにしても。
前期固有の存在感の強いフロントグリルや、ウォルナットが用いられたダッシュボードにドアパネルなど、W111型として好きになる要素が多い。コラムシフト・レバーとアイボリーのステアリングホイールも、戦後間もない頃の素敵な雰囲気を漂わせる。

V8エンジンの280 SE 3.5と異なり、220 SEbのサイドウインドウは手動のワインダー。ソフトトップは、どちらも手で開閉することになる。アメリカ市場向けの上級カブリオレでありながら、電動ではない。
2台とも、長く重いフレームレスドアは、滑らかに閉まる。ロングデッキのプロポーションがスポーティな、キャビンは居心地がいい。シートは肉厚で、クロームメッキは1960年代のドイツ車的といえる。荷室は広い。
ゆったりとした後席側にはソフトパッドが多く用いられ、安全性への配慮にも抜かりない。ソフトトップを閉めると、斜め後方の視界はほぼ得られないが。前方に広がるボンネットは、280 SE 3.5の方が大きなパワーを示すように肉付きがいい。
明らかに活発で運転しやすい280 SE 3.5
公道で流暢に走るのは、案の定280 SE 3.5カブリオレ。明らかに活発で、現代の交通の流れへ問題なくついていける。運転しやすく、追い越すこともできそうだ。
V8エンジンは、燃料ポンプの動作音を確かめながらキーを捻れば、即座にお目覚め。シフトレバーは軽く動かせ、1990年代のモデルのように、余裕のパワーで加速してみせる。180km/hくらいの速度で、アウトバーンを終日巡航することもできるだろう。

反面、丁寧に運転すれば、燃費は7.1km/Lほど。普段使いできない数字ではない。
4速ATは、この280 SE 3.5で最もぎこちない部分。シフトダウンは、現代のモデルへ乗り慣れていると、不安になるほど唐突に行われる。キックダウンさせるには、アクセルペダルを想像以上に踏み込む必要もある。
ブレーキは力強い。ステアリングホイールは軽いものの、路面との設置感がある程度伝わる。殆どの状況で、優れた操縦性といっていい。低速のカーブでは、フロントノーズの動きにお釣りがあるものの、高速の緩いカーブでは、安定していて自信を抱ける。
過度に攻めると、スイングアクスルが支えるリアタイヤは乱れるだろう。優雅な見た目のとおり、大人しく流暢に走らせるのが正解。レザーの香りと豊かなトルクを味わいながら、粗野な振動が排除された、しなやかな乗り心地を謳歌するのが望ましい。
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