【新型メルセデス・ベンツS 400d試乗】高級セダンの「深化・熟成」堪能 前編

公開 : 2021.03.29 05:45  更新 : 2021.10.09 22:31

真新しいというより「深化・熟成」

新型Sクラスの機構の逐一を書き出したらスクロールする指が腱鞘炎になってしまうこと必至だろう。

走行性能はもちろんだが、ADAS、セーフティ、MBUXに代表されるインターフェイスなど全方位的に理解しなければならないことが多すぎるのだ。

メルセデス・ベンツS 400d
メルセデス・ベンツS 400d    花村英典

けれどカタログを1通りチェックしてみると、ロングボディのモデルにパッケージオプションとして用意される後席用のエアバッグが「お初」というくらいで、その多くがまったく新しいわけではないということに気づかされる。

例えば後輪操舵は60km/hを境にして小回りと安定性向上の双方に効くもので、制御はかなり細かくなっているようだが、珍しくはないだろう。

モニターとヘッドアップディスプレイでナビの方向指示をアニメーション的に表示するARナビゲーションやメーター表示を立体的に見せる3Dコックピットディスプレイなども新しいシステムだが、既存の技術の延長線上に位置するものといえる。

新型Sクラスはそれぞれのギミックが深化し、さらに連携を強めていると考えていいだろう。エグゼクティブ相手の高価格なモデルなので安全装備は盛り込みやすいが、冒険しにくいということがあるのかもしれない。

こうなると気になるのはドライブフィールまで保守的になっていないか? という点だろう。

万が一の安全性は重要だが、そのドライブフィールにも多くのファンが「究極のメルセデス」を期待しているのだから。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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