【新型メルセデス・ベンツS 400d試乗】高級セダンの「深化・熟成」堪能 後編
公開 : 2021.03.30 05:45 更新 : 2021.10.09 22:31
ドイツ御三家と比べると……
今回試乗したモデルはS 400dだが後日S 500のロングボディにも試乗することができた。
どちらが好印象だったのかといえばS 500、つまりガソリンの方だ。
ディーゼルのノイズは優れた遮音性能でずいぶんと抑えられている。けれどここまで極上のシャシーを前にして、敢えてディーゼルを選ぶ理由はないと思った。
前述のとおり燃費の差も微々たるもの（Sクラスのオーナーにとっては）だし、マイルドハイブリッド特有の静かな発進もSクラスのキャラによく合っている。
ではライバルと比べた場合はどうか？
現行のBMW7シリーズもまたシリーズ最強のドライバーズカーであり、Sクラスと比べるとボディの硬さと身のこなしの軽快感で優っている。そしてなにより渋滞時の「ハンズフリー」というアドバンテージがある。
クルマ全体の仕上がり良さ、高級感はSクラス優勢だと思うが、個人的にはドロー。
一方ハイテクのデパートのようなアウティA8は、ドライブフィールの希薄さにおいて、走りのレベルを上げてきたSクラスに敵わないと感じた。
Sクラスのようなフルサイズセダンの本当の敵はSUVなのかもしれないし、セダンの中にも4ドア・クーペというお洒落なライバルもいる。
それでもなお、デビューしていきなり熟成が進んだ感のあるSクラスを買う理由はあると思う。
唯一の弱点はセダン特有のオジサン・イメージ？ AMGあたりがイメージを刷新してくれたら面白いのだが。
