【電気はブランド感によく合う】レクサスUX 300eへ試乗 穏やかなクロスオーバーEV

公開 : 2021.04.03 08:25  更新 : 2021.05.14 07:41

レクサスとして始めての電気自動車となる、UX 300e。ブランドらしさは魅力ながら、ライバルとの戦いは楽ではないと、英国編集部は評価します。

203psのシングルモーターで航続距離315km

text:Piers Ward(ピアス・ワード)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
レクサスとして初の電気自動車となる、UX 300e。期待も大きいはずだが、英国のパンフレットにはハイブリット版のUXも併記されている。ここ数年、レクサスを牽引してきたハイブリットを簡単に手放すわけにはいかないのだろう。

UX 300eの英国価格は、4万900ポンド(613万円)から。今回試乗したUXはミドルグレードのプレミアムプラス・パッケージで、4万4400ポンド(666万円)の値札が付いている。

レクサスUX 300e プレミアムプラス・パッケージ(英国仕様)
レクサスUX 300e プレミアムプラス・パッケージ(英国仕様)

グレードに関わらず、フロア下に搭載されるバッテリーの容量は54.3kWh。電気モーターは1基で最高出力203psを発揮し、前輪を駆動する。

0-100km/h加速に要する時間は7.5秒。最高速度は160km/hでリミッターがかかる。航続距離は、315kmがカタログに載っている。

今回は穏やかな天気での試乗となったが、メーターパネルにはエアコンを付けた状態で260kmの距離が表示されていた。エアコンを切れば、292kmへと伸びるようだ。

価格が若干高いポールスター2の場合、航続距離は469kmで0-100km/h加速は4.7秒が主張されている。UX 300eの数字は優位性のあるものではないが、コストと航続距離との両立を図った設定だとレクサスは説明する。

大きなバッテリーや強力なモーターは、価格へ直接反映してしまう。モジュール式のハイブリットとは異なる。

実際に運転してみると、なぜ今まで電気自動車を出さなかったのか、理解に苦しむほど良く仕上がっている。レクサスらしい穏やかな走りには、電気というエネルギー源が適していると思う。

静かで安楽なドライビング体験

UX 300eで特に関心するのが、車内の静けさ。ロードノイズはほとんどなく、路面の変化によるサスペンションノイズも車内には届かない。座禅を組んだように、落ち着き払ったクルマだ。

控えめな馬力の割に遅くもない。普通に運転している限り不満はなく、高速道路の速度域でも力強くボディを引っ張ってくれる。

レクサスUX 300e プレミアムプラス・パッケージ(英国仕様)
レクサスUX 300e プレミアムプラス・パッケージ(英国仕様)

ただし前輪駆動だから、交差点などでの加速時はアクセルペダルを丁寧に踏む必要がある。勢いよく踏みすぎると、路面次第ではモーターのトルクでフロントタイヤがスピンしてしまう。

ステアリングホイールを切った状態で強めの加速を求めると、しっかりした手応えでキックバックも生じる。フロントタイヤ2本だけでは、少し荷が重いと伝えるように。

ポールスター2とは異なり、ドライビング体験は魅力的とはいい難い。手のひらに伝わる操舵時の感覚は薄く、タイヤの状態がわかりにくい。だが、レクサスは市場の嗜好を理解しており、安楽には運転できる。

アクセルペダルを戻したときの回生ブレーキの強さは、ステアリングホイール裏のパドルを弾いて3段階から選べる。それほど強力にはならないから、ワンペダル・ドライブはできない。

車内を観察すると、ダッシュボードの高い位置にモニターが配され、センターコンソールにはタッチパッドが残る。パッドは手に届きやすい場所にあるものの、正確な操作が難しく、移動中に触れることは避けた方が良いかもしれない。

そのかわり、センターコンソール上のアームレストには、オーディオのボリュームなどのボタンがある。ダッシュボードにもエアコン用にボタンが並んでいるから、一般的な操作はしやすい。

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