【上質なデイリーカー】新型アウディA3スポーツバック1stエディション試乗 ゴルフより良き肌なじみ 

公開 : 2021.06.21 05:45  更新 : 2022.03.24 21:24

新型アウディA3スポーツバック1stエディション試乗。デジタル化に走ったゴルフとは対照的な肌なじみの良さに惹かれます。

コロナ禍に翻弄 切り込み隊長A3 

text:Toshifumi Watanabe(渡辺敏史)
photo:Keigo Yamamoto(山本佳吾)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

アウディA3は初代から常にアーキテクチャーを共有するフォルクスワーゲン・ゴルフに先んじて登場し、投入された先駆的な技術を世に示す、ある種の露払いというか切り込み隊長というか、そういう役割を担ってきた。

果たして4代目となる新型も、日本においてはゴルフ8にやや先んじて登場したわけだが、欧州ではゴルフ8から遅れること半年近くの昨年3月に発表されている。

アウディA3スポーツバック1stエディション
アウディA3スポーツバック1stエディション    山本佳吾

本来ならジュネーブ・サロンで華々しくお披露目というプランだったのだろうが、コロナ禍でサロンそのものが直前に開催中止となり、リモートカンファレンスを段取る間もなく広報資料のみが配付されるという残念な門出となってしまった。

僕も本来であればその会場に暢気に取材に行く予定だったわけで、あの時、世の中がここまで混乱するとは本当に誰にもわからなかったわけである。

今回、欧州市場でA3のローンチがゴルフ8の後ろに回った理由は、ここ数年の認証工程の混雑でアウディ自身の発表スケジュールが混乱したことも一因だろう。

しかし、一昨年秋のフランクフルトショーにおけるフォルクスワーゲンiD.3の発表という、グループにとってはこの先の雌雄を決する最も重要なイベントの効果を最大化するために、同級モデルであるゴルフ8とA3の発表タイミングを調整したのかもという邪推も浮かぶ。

アウディらしいアプローチ

日本仕様のアウディA3はスポーツバックとセダンが同時にデビューした。

いずれもエンジンバリエーションは1L 3気筒直噴ターボに48V駆動のベルト・オルタネーター・スターター、アウディ曰くのBASを付加したマイルドハイブリッドの30TFSI、2L 4気筒直噴ターボの40 TFSIの2つとなり、いずれもミッションは7速DCT、アウディ曰くのSトロニックが組み合わせられる。

アウディA3スポーツバック1stエディション
アウディA3スポーツバック1stエディション    山本佳吾

駆動方式は30TFSIがFF、40 TFSIが電子制御油圧多板クラッチを用いたオンデマンド式の4WD、つまりクワトロとなる。

駆動配分は通常時でほぼ100:0で、状況に応じて最大50:50へと可変する仕組みだ。

これに応じるかたちでリアのサスペンション形式は、30 TFSIがトーションビーム、40 TFSIがマルチリンクとなる。

トリムラインはベース、アドバンスト、Sラインの3つで、装備内容的にみれば一般的にはアドバンスト、スポーティな仕立てを好むならSラインという選択になるだろう。

注目すべきはそのSラインのシート表皮に、1.5Lペットボトル45本分をリサイクルした素材を使っていること。

他グレードでもリサイクルマテリアルはフロアカーペットやラゲッジボード、断熱材や吸音材などに積極的に展開している。

ユーザーの社会親和の意識が高そうな……というのは僕だけの見立てかもしれないが、このアウディらしいアプローチは歓迎されることだろう。

記事に関わった人々

  • 山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。

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