レヴエルト:ワイルドならしさすべて アルトゥーラ:次元の違う精緻さ BBDC 2025(3)

公開 : 2026.01.01 18:05

1年に試乗した中で、運転体験の喜びが最高の1台を選ぶBBDC 公道とサーキットで徹底評価 フェラーリにマクラーレン、ポルシェ、アストン、ランボルギーニまで10台の混合戦 2025年の頂点は?

ワープするような感覚:12チリンドリ

フェラーリ12チリンドリは繊細。6.5Lもの排気量を持ちつつ、V12エンジンは慣性がないように1万rpm近くまで鋭く吹ける。その音響は、オーケストラのようにシンフォニック。パワーを解き放てば、ワープするような感覚へ陥る。

サイズは大きいが、手首を軽く動かすだけで即座に回頭。圧巻の精度と落ち着きで、狙い通りのラインを辿れる。「中毒になりそう。磨かれた減衰力で乗り心地は最高だし、リアアクスルは知的。830psを自在に操れますよ」。リチャード・レーンが微笑む。

フェラーリ12チリンドリ(英国仕様)
フェラーリ12チリンドリ(英国仕様)

他方、マット・ソーンダースはまとまりへ疑問を抱く。「上質なパワートレインと巡航時の静寂性、乗り心地は、ゆったり走るグランドツアラー的。でも、操舵の反応はフォーミュラカーのよう。ダイレクトさとレスポンスが、公道には不釣り合いかも」

ワイルドなランボらしさのすべて:レヴエルト

12チリンドリ以上の存在感を放つのは、グレーのランボルギーニ・レヴエルト。ブランドの伝統を継承した最新スーパーカーは、驚くほど一般道との親和性が高い。

全幅はリアタイヤ付近で2033mm。車線へ収まるギリギリの大きさながら、後輪操舵システムが備わり、ゾクゾクするほど身のこなしは軽妙。運転席からの視界は広く、乗り心地も快適と表現して嘘ではない。

ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)
ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)

「ワイルドなランボルギーニらしさを、すべて備えていますね。アヴェンタドール以上の落ち着きと、敏捷性も。トラクション・コントロールは切らない方が良さそうですが」。レーンが興奮気味に振り返る。

この体験の核にあるのは、アフターファイヤーの破裂音を容赦なく放つ、6.5L V12エンジン。パワフルすぎて、1万rpmまで引っ張れるのは一瞬でも、鳥肌が立つほど刺激的。ハイブリッド化されても、暴れ牛の個性は薄れていない。

次元の違う精緻さで魅了:アルトゥーラ

濃厚な多気筒エンジンを体験した後だと、3.0L V6ツインターボのマクラーレンアルトゥーラ・スパイダーは薄味に思えるが、間違い。次元の違う精緻さで、乗り手を魅了する。滑らかなステアリングと白眉のバランス、豊かなフィーリングで陶酔させる。

「同じ路面を走っているのかと思わせるほど、操縦性は直感的で流暢。グリップも凄くて、落ち着きがありつつ敏捷性も高い。濡れたワインディングには、最高のバランスですよ」。ソーンダースが、2024年のBBDC勝者から満面の笑みで降りてくる。

マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー(英国仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー(英国仕様)

ただし、ハイエンド・スーパーカーへ期待する熱い興奮を、V6エンジンは生み出さないといえる。ハイブリッド・システムは低域から即座にパワーを生成し、デュアルクラッチATの反応と判断力も素晴らしいが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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