サーキットで徹底比較 ヴァンキッシュ:全操作を忠実に展開 12チリンドリ:余りに流暢 BBDC 2025(4)

公開 : 2026.01.02 18:05

1年に試乗した中で、運転体験の喜びが最高の1台を選ぶBBDC 公道とサーキットで徹底評価 フェラーリにマクラーレン、ポルシェ、アストン、ランボルギーニまで10台の混合戦 2025年の頂点は?

サーキットで前輪駆動は少々不利

2022年完成と、まだ新しいMSサーキット。クルマの能力を引き出すのに理想的なレイアウトながら、メインストレートの先にはエスケープゾーンが殆どない。濡れたアスファルトには、落ち葉がチラホラ。5名の審査員も、このコースには不慣れだ。

つまり、アストン マーティンヴァンキッシュではなく、アルピーヌA290 GTSから確かめるのが正解。だが、サーキットで前輪駆動は少々不利。220psも物足りない。

メルセデスAMG GT 43(英国仕様)
メルセデスAMG GT 43(英国仕様)

メルセデスAMG GT 43もブランドでは穏やかな側とはいえ、421psあり、アクセルペダルの加減で驚くほど自在に振り回せる。かたやA290は、正確なステアリングとアクセルオフでの、タックインに頼りがち。真の喜びまでは得難い。

軽すぎるステアリングと、全体的な活気の弱さをジェームス・ディスデイルは指摘する。マット・ソーンダースも、トラクションを褒めつつ、トルクベクタリング機能があれば、シャシーの実力を一層引き出せただろうと付け加える。

ミドシップへ近い敏捷性:タイカン・ターボ GT

路面が乾き始め、アウディRS3へ。パワーオン時以外、常にニュートラルな操縦性が惜しいと、ソーンダースは話す。秀でた敏捷性と、路面を問わない安定感を評価しつつ。

瞬間的にリア側の割合が増すパワー分配は、公道で有望。だが、広く安全なサーキットでは、横置きエンジンのA3がベースという素性を実感しがち。トラクションは望外に高く、サウンドも素晴らしいが、往年のスバルインプレッサを超えてはいないだろう。

ポルシェ・タイカン・ターボGT(英国仕様)
ポルシェタイカン・ターボGT(英国仕様)

三菱ランエボの頃を思い出しますね」。とマット・プライヤーが表現するのは、1109psのポルシェ・タイカン・ターボ GT。「以前は、他のモデルと違う挙動を披露するクルマが、必ず1台はありましたから」

なるほど、ミドシップ・スーパーカーのような敏捷性でありつつ、フルスロットル時の振る舞いは電子的でやや不自然。信頼感を築きにくい。それでも、ダンパーの処理能力は素晴らしい。ステアリングも最高。順位をかき回せる能力は秘めている。

大げさな姿でも正真正銘のドライバーズカー

今回は、錚々たるスーパーカーも揃い踏み。「ひたすら野性的」だと誰かが口にした、ランボルギーニレヴエルトもある。安定性を求めてホイールベースは長く、重量物が中心に集まったミドシップにV12エンジンだから、面白いに決まっている。

実際、過去のモデルでは考えられないほど一体感に優れ、サーキットで魅力的。フロントのトルクベクタリングが機能しても、ステアリングには一切その事実が伝わらない。1015psのハイブリッドという、技術の磨き込みにも唸らされる。

ランボルギーニ・レヴエルトと、MSサーキットを開設した元ラリードライバーのマルコム・ウィルソン氏
ランボルギーニ・レヴエルトと、MSサーキットを開設した元ラリードライバーのマルコム・ウィルソン氏

濡れたアスファルトでも、大量の空気を押し避け、目を疑う速度でストレートを疾走できる。咆哮も凄まじい。スタイリングは大げさだが、正真正銘のドライバーズカーだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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