【見た目そのままモダナイズ】リボロジー・マスタング・ブリットへ試乗 コヨーテV8搭載

公開 : 2021.07.11 08:25  更新 : 2022.04.14 16:59

クラシカルな車内に調和する現代的な装備

ステアリングコラムの角度は調整可能で、長距離ドライブでも快適な姿勢を取りやすい。ただし、クラシックな形状のシートのおかげで、コーナリング時のサポート性は良くない。人間工学的にも悪くはないが、完璧とはいえない。

車内の構造で1番大きな違いは、高く幅も増したトランスミッション・トンネル。車内のあちこちに、リボロジーによるアルミ削り出しのパーツが用いられている。ドアの内張りやダッシュボードの仕立てもスマートだ。

リボロジー 1968マスタングGT ブリット(北米仕様)
リボロジー 1968マスタングGT ブリット(北米仕様)

部品のフィット感は、シンガー社が手掛けるモデルほどではないものの、当時のマスタングよりは遥かに高い。メーターはモダンなデザインだが、ステアリングホイールはウッドリム。1960年代のマスタングの雰囲気と、見事に調和するデザインだと思う。

読者の想像通り、こんなマスタングは安くは手に入らない。英国への輸入費用を載せる前でも、ベントレー・コンチネンタルGT V8と同じくらいの予算が必要になる。

リボロジーのマスタングは、金額に負けないくらいのドラマ性がある。英国でこのクルマの輸入を手掛けるクライブ・サットン社の地下駐車場でキーをひねると、V8エンジンは一発で目覚めた。

エンジンの存在感は現代的ながら、アイドリングは脈動する。鼓膜を破る勢いで、エグゾーストノートも大きい。

モダンな雰囲気が入り交ざるダッシュボードの先に、昔ながらの大きなボンネットが伸びている。ノイズはさほど興奮を誘うものではないが、イベント性は極めて高い。

マスタングらしいアンダーステア傾向

一般道に出ても、ビッグブロックV8のような独特のビートは得られない。そのかわり、ガサツさもない。ドライバーに友好的なコヨーテユニットは、滑らかに積極的に回転数を高める。

当時のマスタングは273psだったが、リボロジー・マスタングは440psもある。シフトフィールは冴えないながら、正しいギアにつながればボクスター級の加速を楽しめる。

リボロジー 1968マスタングGT ブリット(北米仕様)
リボロジー 1968マスタングGT ブリット(北米仕様)

見た目とは裏腹に、シャシーは路面の乱れを巧みに吸収してくれる。ステアリングは正確でライン取りも簡単。指先で狙い通りに導ける。

少し気になったのが、パワーステアリングが不自然にクイックに感じる場面があること。ハンドリングも活発とはいい難い。マスタングらしいアンダーステア傾向が残っている。コーナー中程を過ぎ、加速へ移るまで続いてしまう。

トラクションは高く、ブレーキは力強く効き、姿勢制御も引き締まっている。ドライバーの充足感は大きい。郊外の道をハイスピードで走らせれば、オリジナルの癖も一緒に楽しめる。

運転時の安心感や安全性が高められ、動的性能も引き上げられたリボロジー・マスタング・ブリット。現代に乗りやすいモディファイも加えられ、リボロジーのアイデアは良く具現化されていると思う。

ただし、英国価格21万ポンド(3234万円)に見合うかどうかは、受け取り方次第。このノイズを気に入り、1968年のファストバック・ボディの大ファンなら、恐らく支払う価値はあるのだろう。オリジナルにはない利便性も備わっている。

リボロジー 1968マスタング・ブリット(北米仕様)のスペック

英国価格:20万9375ポンド(2334万円)
全長:4663mm(オリジナル・マスタング)
全幅:1801mm(オリジナル・マスタング)
全高:1311mm(オリジナル・マスタング)
最高速度:241km/h(予想)
0-100km/h加速:4.0秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1470kg(予想)
パワートレイン:V型8気筒4951cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:440ps/6500rpm
最大トルク:55.2kg-m/4250rpm
ギアボックス:6速オートマティック

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