【崖っぷち日産の本気車】ノート・オーラの新しい価値観 成功する?

公開 : 2021.07.21 05:45  更新 : 2021.10.22 10:07

本気で台数を狙う ノートよりも割安感

果たしてノート・オーラは売れるのか?

日産としては何としてもノート・オーラを好調に売らねばならない。

日産ノート・オーラのインテリア
日産ノート・オーラのインテリア    神村 聖

なぜならティーダやキューブを廃止した影響もあり、今の日産には売れ筋車種が少ないからだ。

コンパクトSUVのキックスは伸び悩み、好調に売れる車種は、軽自動車のデイズとルークス、ノート、セレナ程度になる。

その結果、日産の国内販売ランキング順位は、以前の2位から5位まで下がった。

2021年1~6月のデータは、1位がトヨタで、2位以下はスズキダイハツホンダ、日産の順番だ。

この状況から脱するためにも、ノート・オーラを数多く売らねばならない。

しかも、現行ノートは、先代型に設定されていたノーマルエンジンを廃止した。この不足分をノート・オーラで補う必要もある。

ちなみに先代ノートは、2018年に、小型/普通車市場で新車登録台数ナンバー1になった。2018年の1か月平均登録台数は、1万1360台に達していた。

一方、2021年1~6月の1か月平均は7813台だから、単純に計算すれば、2018年に比べて今は1か月当たり3500台が不足している。

そこをノート・オーラで補いたい。

この戦略が達成されると、ノート・オーラはノーマルエンジン車よりも価格が大幅に高いので、利益の上乗せでも有利になる。

そこでノート・オーラは価格を割安にした。

ノート・オーラGは261万300円で、ノートXに比べて約42万円高いが、この内の約26万円はノートにオプション設定される装備の標準装着に費やされる。

つまりノート・オーラが内外装の質を高めたり、動力性能や走行安定性を向上させた対価は、残りの16万円に収まる。

ノートオーラは独特のリラックス感覚を備え、装備を充実させて、なおかつ価格も割安だから売れ行きも相応に増えるだろう。

早くも強敵  アクアとどちらが買い得?

ノート・オーラには、早くも強力なライバル車が登場した。それが新型アクアだ。

新型アクアは4グレードを用意するが、最上級のZを割安にした。

トヨタ・アクア
トヨタ・アクア

価格は240万円で、中級のGに比べて17万円の上乗せだが、バイビームLEDヘッドランプや10.5インチディスプレイなど、19万8000円分のオプション装備を加えている。

さらに装飾類も上質になるため、総額では23万円相当の装備がプラスされた。

ノート・オーラとアクアの装備を比べると、アクアでは後方の並走車両を知らせるブラインドスポットモニターなどの安全装備が4万6200円のオプション設定になるが、運転支援機能はノート・オーラと違って標準装着される。

そのうえでアクアZの価格は、ノート・オーラGよりも約21万円安いので、価格競争力が強い。

内装はノート・オーラが上質で、前述のとおり本革シートも割安に装着できるが(アクアに本革の設定はない)、WLTCモード燃費は、ノートオーラの2WDが27.2km/L、アクアは33.6km/Lと優れている。

コンパクトカーはハイブリッド車を含めて競争が激しく、買い得車が豊富にそろう。

ノート・オーラやアクアを中心に、ますます魅力的なカテゴリーになっていくだろう。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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