【現実の環境でテスト】アウディeトロン50クワトロ・アドバンスト試乗 一般道/高速道路/峠道で検証

公開 : 2021.09.02 11:05  更新 : 2021.10.11 11:56

地方都市の移動 峠における走り

翌日は、撮影を兼ねて近くの峠を走る。

峠ではスポーツモードを選択し、登りで一気にアクセルを踏み込むと、内燃機関では得られない分厚いトルクで、強烈に加速してゆく。

甲府から川崎への移動は、ほぼ下りであるから、電力消費はごくわずかだった。117kmの距離を走り、89km分の電気を消費した。
甲府から川崎への移動は、ほぼ下りであるから、電力消費はごくわずかだった。117kmの距離を走り、89km分の電気を消費した。    戎 大介

ジャガーIぺイスの時も感じたが、下りのフルブレーキングでも回生ブレーキが効くため、意外と電力を消費しない。これもEVの面白さだと思う。

峠でのアウディ独特の足さばきの良さはeトロンでも変わらず、EVによる峠走りは、とても楽しかったのである。

甲府のような典型的な地方都市では、市内の用事であちこちに行く程度の使用であれば、殆どコストはかからず、EVのメリットだけが強調される。

毎日、使用した後、充電をセットするのが最初は面倒だが、慣れてしまえばあまり気にはならない。

甲府から川崎への移動は、前述の通り、117kmの距離を走り、89km分の電気を消費した。

中央道は笹子トンネルまでは登りだが、その後は、ほぼ下りであるから、電力消費はごくわずかになるのを証明している。

残距離は185kmであったが、自宅で充電を開始すると、満充電までは11時間3分を要した。

この時の充電後の航続可能距離は295kmで、アクセル開度やブレーキングの程度など、直近の走り方により、表示される航続距離も変わってくるのだろう。

今回、高速道路のパーキングなどに設置されている急速充電は利用しなかった。行程の中では、石川、談合坂パーキングにそれぞれ2基ずつ設置されている。

毎回、立ち寄って込み具合をチェックしてみたが、ほぼ充電しているクルマは無かった。

急速充電自体は、バッテリーに良い影響は与えないので、長距離を走らなければならない時以外は使わない方が良いだろう。

しかし、これから、EVが更に普及してくることを考慮すると、これでは足りないのは明白だ。

総走行距離570kmで見えたこと

7月25日から約2週試乗して、総走行距離は570kmとなった。この間、甲府に2回往復し、ほぼ毎日、充電をおこなっている。

最後の頃には、eトロンとの生活が、違和感がなくなってきていたので、要は、慣れの問題なのだと思う。

7月25日から約2週試乗して、総走行距離は570kmとなった。
7月25日から約2週試乗して、総走行距離は570kmとなった。    戎 大介

eトロンは、アウディのこれまでの商品イメージをしっかりと体現した、よくできたEVだと思う。

価格も、このクラスとしては割高ではない。お勧めできる1台だと思う。

これからEVが普及するためには、インフラの更なる整備が絶対だ。クルマはどんどん高性能になり利便性も増すが、それに対応した高性能な充電設備が数多くできないと、現在のレベルから、更なる普及は難しいだろう。

政府がもっと積極的に対応しないと、日本は世界から遅れるばかりだが、縦割り行政の日本では、最も苦手な部分なのは間違いない。

記事に関わった人々

  • 笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

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