【299psの四輪駆動】アウディQ4 eトロン 50クワトロへ試乗 一層の差別化に課題

公開 : 2021.09.21 08:25  更新 : 2021.11.11 13:18

アウディの純EVクロスオーバー、Q4 eトロン。力強く質感の高い走りを評価する一方で、グループ内での差別化を英国編集部は懸念します。

最高出力は299ps、航続距離は468km

執筆:Piers Ward(ピアス・ワード)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アウディにとって重要な意味を持つモデルとなるのが、Q4 eトロン。純EV化を本気で推し進めようという戦略の中で、コンパクトなクロスオーバーが牽引すべきものは大きい。

すでに数グレードのQ4 eトロンへAUTOCARでは試乗している。今回は英国の道で、四輪駆動の50クワトロのステアリングを握ってみたい。

アウディQ4 eトロン 50クワトロ Sライン(英国仕様)
アウディQ4 eトロン 50クワトロ Sライン(英国仕様)

アウディQ4 eトロンは、フォルクスワーゲンID.4と兄弟関係にある。日本では聞き慣れないと思うが、欧州ではスコダ・エンヤックというモデルも親戚関係に当たる。

駆動用バッテリーの容量はグロスで82kWh、実容量では76.6kWhとなり、Q4 eトロンの40と容量は同じ。電気モーターは2基搭載され、総合で299psの最高出力と46.7kg-mの最大トルクを発揮する。

Q4 eトロンの40より95psもパワフルで、0-100km/h加速時間は50クワトロの方が1.3秒も速い。前輪が駆動されることで増加する、トラクションの効果もあるだろう。

1度の充電で走れる航続距離は468kmで、40より40km短くなる。ちなみに、フォードマスタング・マッハEのエクステンドレンジは、141kmも長く走れる。

タイヤはボディの四隅にレイアウトされ、駆動用バッテリーがボディ底部に並べられる。そのおかげで、車内フロアはフラットで空間にはゆとりがある。3スタックのスケートボード構造は、とても知的な設計だと感じる。

乗り心地は硬め 高速道路でもパワフル

インテリアには、従来のアウディと比べると少し安っぽい部分もある。特にステアリングホイールが。タッチセンサーやモニターへ置き換わることで、実際に押せるハードスイッチは多くが削られており、触れた時の質感を楽しむこともできない。

走りのフィーリングは悪くない。乗り心地は充分に良好で、荒々しいところもない。ツギハギが多いような都市部の路面に対しては、少々硬すぎるようにも感じる。盛り上がった速度抑止用のスピードバンプを超えると、少々揺さぶられる印象がある。

アウディQ4 eトロン 50クワトロ Sライン(英国仕様)
アウディQ4 eトロン 50クワトロ Sライン(英国仕様)

今回の試乗車は、オプションのアダプティブ・ダンパーを装備していなかったことも理由だろう。前回試乗したQ4には装備されており、乗り心地の印象は異なっていた。もう少し洗練されれば、アウディへの期待通り、といえそうだ。

最高出力は299psもあるため、80km/hから120km/hへの追い越し加速などは朝飯前。高速道路の速度域で、パワー不足はまったくない。内燃エンジンのクルマのようにキックダウンすることもなく、滑らかに速度を増す。

加えて、風切り音などの遮音性も高い。価格に見合うだけの上質さは備わっている。

実際の航続距離は、アウディが主張する数字から大きく目減りするということもなさそうだ。市街地と郊外を混ぜ合わせた今回の試乗ルートでは、平均で5.3km/kWhという電費が示されていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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