【ホンダ・シビックは高い?】300万円台でも「ターゲットは若者」を貫くワケ

公開 : 2021.09.19 05:45  更新 : 2021.10.09 23:38

メインターゲットは「若者」

しかし、それでは新型シビックのメインターゲットである、若いジェネレーションZは高すぎて買えないのではないだろうか。

ところが、開発責任者の佐藤氏は、そこがちょっと違うという。

ホンダ・シビック
ホンダ・シビック

「シビックのユーザーの世代は2つのピークがあります。1つは、20代から30代の若者です。もう1つが45歳くらいを頂点としたピークです。こうした2つの世代のピークがあるのは、日本だけでなくアメリカも同じです」

「実際に、今度の新型シビックの予約に関していえば、同じように2つの世代がメインとなっています。まだ、数が少なくて断言できませんが、どちらかといえば、若者世代の方が多いようです」

「ちなみに、予約の割合は、上級のEXが80%、エントリーのLXが20%でした」と佐藤氏。

先代シビックもハッチバックは280万円で、けっして安いクルマではなかった。

それでも若い世代にもしっかりと売れていたのだ。

さらに新型に関していえば、先行予約ということで、新型シビックの登場を待っていた熱心なファンが中心だろう。

それにしても高いグレードが予約の8割を占めており、しかも若い人が多いことに驚く。

「高いから若い人には買えないのでは」というのは一面では正しいだろうが、実際には、若い人もしっかりと新型シビックを買っていたのだ。

価値観合致目指す 残クレも後押し?

「わたしが予想するに、シビックを買っている若い人は先行者が多く、40代はフォロワーが多いと思います」

「ジェネレーションZの人たちは、本質を見抜く力が高く、しかも、瞬時に判断できるのではないでしょうか。ですから、高くても気に入ったものを買います。逆に、気に入らないものは手を出しません。目が肥えていて厳しいんですね」と佐藤氏。

ホンダ・シビック
ホンダ・シビック

ポイントは、ただの若者ではなく、ジェネレーションZであることだったのだ。

ジェネレーションZは1990年代中盤から2000年代に生まれた世代で、「デジタルネイティブ」とも呼ばれる。1980年代から90年代の「ジェネレーションY」、「ミレニアム世代」の下の世代だ。

そうしたジェネレーションZ世代の価値観に合致する商品であることが、価格よりも重要だったのだろう。

また、価格のハードルを下げる新しい購入法も登場している。

「また、彼らは所有の感覚も違います。トータルで考えるのではなく、日々で考えます。それが残価クレジットを利用する人の増加です。残価クレジットで考えれば、エントリーと上位グレードの差は、わずかなものになりますからね」

たしかに残価クレジットやリースなどを使えば、月々に支払いの差はわずか。上位グレードを選ぶのも当然のことだろう。

そうした傾向は、日本だけでなく北米も同様だという。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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