【6速MTとCVT】新型ホンダ・シビック 両トランスミッションを比較試乗

公開 : 2021.09.27 19:45  更新 : 2022.03.18 14:45

あなどれないMT派の数

ホイールベースが35mm伸びたことで、とくにリアシートのフットスペースが広くなっている。

クーペライクなルーフラインを描くがヘッドクリアランスも確保され、居住スペースは十分だ。

新型シビックはリア・クォーターガラスが追加され閉塞感を減らしている。こちらは標準グレードとなるシビックLX。
新型シビックはリア・クォーターガラスが追加され閉塞感を減らしている。こちらは標準グレードとなるシビックLX。    前田恵介

一方、ラゲージスペースも、先代とほぼ同等となっている。

搭載される1.5Lターボエンジンは、最高出力182ps/6000rpm、最大トルク24.5kg-m/1700-4500rpmのアウトプットで、6速マニュアル・トランスミッション(MT)とCVTが設定される。

もはや絶滅危惧種であるMTの設定があるのが嬉しい。

先代でも30%だったMT比率(タイプRを除く)だが、新型の受注開始から約1か月の時点ではそれを上回っているという。

どんな感じ?

走り出しの極低速域ですでに、先代に比べゴロゴロした雑味がなくなり、タイヤがスムースに転がっていく感覚がある。

さらに車速が上がり一般道の速度域になると、ロードノイズも低減されており、実用域ですっきりとした走りを味わえる。

新型シビックは7月末から受注を取り始めているが、9月上旬時点で2100台のオーダーを得ているという。
新型シビックは7月末から受注を取り始めているが、9月上旬時点で2100台のオーダーを得ているという。    前田恵介

そして、ステアリングもスポーツカーほど締まった手応えではないものの、切り始めからスッとノーズが反応し、ワインディングではドライバーの操作に対して素直な動きが気持ち良い。

一方、サスペンションはかなりスポーティなセッティングという印象だ。

荒れた路面だと、突き上げこそマイルドなものの、入力は大きい。

そして肝心なMTのシフトフィールは、剛性感がありながら小気味良い操作感でリズム良く走れる。

シビックには「タイプR」と言うハイパフォーマンスモデルが存在する。最近はかなりのハイスペックとなり、日常使いにはやや持て余すかもしれない。また、価格的にもお高めだし、限定モデルじゃなくても入手困難だったりして、ハードルの高い存在となっている。

それだけに、日常的にスポーティな走りを楽しめるスタンダードモデルにMTの設定がある意義は大きい。

一方、CVTのドライバビリティも向上している。

CVTか、MTか

CVT車は、回転数やエンジン音だけが先行して加速が伴わないというような違和感もなく、2ペダルの快適性とMT同様のスムースかつ軽快な加速感が得られる。

また、CVT車にはドライブモードが装備され、デフォルトの「Normal」、経済性の高い「ECON」、スポーティな走りを楽しめる「SPORT」の3モードから、ドライブシーンに応じて選べばより快適な、あるいはファンな走りが得られる。

ホンダ・シビックEX(プラチナホワイト・パール/CVT)
ホンダ・シビックEX(プラチナホワイト・パール/CVT)    前田恵介

今回の試乗モデルはMT/CVTいずれも上級グレードの「EX」で、タイヤサイズも同じ18インチ。つまり、トランスミッション以外のスペックはほぼ同じとなる。

重量差があるため、ダンパー減衰力の調整で同じ乗り味を狙ったという。

確かに大きな違いはないが、“乗り心地”に関してはCVTの方がよりハードな印象を受けた。

そこでちょっと気になったのは……。

おそらく、MT派の方は、そもそもスポーティ志向の強いユーザーが多いと思うので狙い通りのキャラと言えるが、CVTも負けず劣らずスポーティなので、快適性重視のファミリーカーのイメージで選択すると、ドライバーだけが楽しんで、とくにリアシートの乗員からは不満の声が上がるかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    佐藤久実

    Kumi Sato

    大学在学中にレースデビューし、耐久レースをメインに活動。ニュルブルクリンク24時間レース、スパ・フランコルシャン24時間レースで入賞を果たす。モータースポーツで培ったスキルをベースにインストラクターとしても活動。東海大学工学部動力機械工学科非常勤講師、芝浦工業大学特別講師の経験あり。日本カー・オブ・ザ・イヤー、World Car Awards、日本ボート・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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