【スコットランド生まれ】新型電動オフローダー「マンロー」 2022年欧州発売予定 新興EVメーカー

公開 : 2021.09.27 21:45

スコットランドの新興企業が、頑丈で長寿命な電動オフローダーを開発中です。年内に正式デビューする予定。

プロトタイプのテスト開始

執筆:AUTOCAR UK編集部
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)

スコットランドの新興企業であるATAE(オールテレーン・オールエレクトリック)社は、新型SUVのマンローを2022年に発売する計画だ。成功すれば、同国で2番目の自動車メーカーとなる。

現在、1台目のプロトタイプが完成し、オフロードテストを開始している。外装はまだほとんど塗装されておらず、内装も一部しか完成していないが、パワートレインや足回りはほぼ完成している。

ATAEマンロー
ATAEマンロー

エジンバラ近郊にあるオフロードコースで、12か月間の動的テストプログラムが始まっており、ATAEは近日中にマンローの予約受付を開始する予定だ。

ラス・ピーターソンとロス・アンダーソンが設立したATAEは、電動オフローダーというニッチ市場への参入を目指している。グラスゴーを拠点とする2人は、Foers社が製造するオフロード車「アイベックスF8」のボディとシャシーをベースにマンローを設計した。

ピーターソンは、最初はランドローバ・ディフェンダーを使うことを検討していたが、他社がEVモデルで先行していたため、断念したと話している。また、中古のディフェンダーもコストの面から除外したという。

高い4×4性能を持つとされているアイベックスF8のエンジンを、ATAEのEVパワートレインに換装することでマンローが誕生した。個人のユーザーだけでなく、農家や農園、国立公園、アドベンチャー企業などにも売り込まれる。また、送電線などのインフラ整備向けに電力会社への販売も視野に入れているようだ。

マンローはまだ開発中のため、今年末の正式発表まで詳細は伏せられているが、バッテリーを含め、主に英国製の部品を使用する予定であることが確認されている。

サプライヤーは公開されておらず、具体的な仕様も不明だが、1回の充電で約240kmの航続距離を目標としている。プロトタイプが積んでいる電気モーターは、米国で設計されたもので、212psと35kg-mを発生するが、将来的には別のユニットを採用する可能性もある。

長寿命で修理しやすい構造

モノコック構造は最新の製造技術を駆使して作られており、シャシーにはバッテリーを収納するための専用構造が加えられている。アルミパネルはリベットで骨組みに接着され、電解腐食を防ぐことで車両の寿命を延ばす。

アンダーソンは次のように語っている。

ATAEマンロー
ATAEマンロー

「エコロジーの観点からも経済的な観点からも、長寿命で修理可能であることが非常に重要です。5~7年でクルマを捨ててしまっては、世界のCO2排出量削減に貢献できませんからね」

「泥だらけのブーツで乗り込み、荷台に干し草を積んで馬に餌をやり、週末にはキャンプに出かけることができるようなクルマを作りたい。わたし達は、EVがすぐにスタンダードになると予測しているので、電動ドライブトレインを搭載すること自体はあまり重要ではありません」

マンローはオフロード性能を重視し、ソリッドビームアクスル、2速トランスファー、ロック式センターデフを採用している。牽引力と積載量は、ベースのアイベックスF8と同様の3.5トンとされている。

生産開始は2022年後半、生産台数は年間1000台以下となる見込みだ。ディーラー網が確立されていないため、オンラインで販売される。価格は5万ポンド(約760万円)前後、商用車仕様ではもう少し安くなるようだ。また、大型バッテリーや高級感のあるインテリアなどのオプションも用意される予定だ。

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