【ドアで選ぶ? 全高で選ぶ?】スズキ「ワゴンRスマイル」の狙う市場

公開 : 2021.10.04 19:45

立体駐車場に入れない全高でも…

では、一般的な立体駐車場には入らない全高1550mm以上で、1800mm以下というスーパーハイト系未満のクルマに商品力はどうあるのか。

これが却って中途半端にはならないのだろうか。

スーパーハイトのスペーシアでは“感覚的に大きい”と考える層が存在するとスズキは話す。たとえ全長/全幅が同じ数値でも、全高が低い車種を望む声があり、それに応えたのがワゴンRスマイルというわけだ。
スーパーハイトのスペーシアでは“感覚的に大きい”と考える層が存在するとスズキは話す。たとえ全長/全幅が同じ数値でも、全高が低い車種を望む声があり、それに応えたのがワゴンRスマイルというわけだ。    池之平昌信

これについてチーフエンジニアの高橋正志氏は、「実は調査すると、このサイズのクルマに対して想像以上のニーズがあることがわかった」と話す。

「とくに女性からは背が高いと運転がしにくそうとか、駐車がしにくそうといった声が大きい。実際は前後左右の寸法は同じなので、あくまで感覚的なものでしかないけれども、この(中途半端にも見える)高さはそういったニーズに応えられると考えている」と説明してくれた。

さらに見逃せないのが収納力だ。

軽乗用車の場合、車幅が1480mm以下であるため、高さ1550mm以下ではおのずと間口も狭く、かさばる荷物は収納できない。

しかし、これを1700mm近くまで高くすると収納力は増し、その使い勝手は一気に高まる。

とくにスマイルでは、リアシートを畳むと座面がフォールダウンして荷室はフラットな空間として提供される。

カーゴルームとして使う時、フロアがフラットかそうでないかでは使い勝手は大きく違うわけで、これはスペーシアで培われたスズキならではのこだわりとも言えるだろう。

そして、このサイズはデザイン面でもスーパーハイト系にはないスタイリッシュさも生み出した。

デザイン/運転席に座った印象

室内長はスペーシアに匹敵する一方で車高を抑えたため、本来ならサイドビューは間延びした感じとなりがちだ。

しかし、スマイルではドアに凹みのプレスラインを与えつつ、さらに濃いブラウンカラーや明るいホワイトカラーによる2トーンを組み合わせることで、むしろギュッと凝縮された印象さえ受ける。

ワゴンRスマイルの前席内装。軽とはいえ質感にこだわっており、ダッシュボードのパネルは、オートバイのガソリンタンクのような雰囲気。
ワゴンRスマイルの前席内装。軽とはいえ質感にこだわっており、ダッシュボードのパネルは、オートバイのガソリンタンクのような雰囲気。    池之平昌信

アウターミラーをドアパネル取り付けたことも、アクセントとして役立っていると言えるだろう。

フロントグリルのデザインはメッキを多用したスペーシアにも通じるが、肉厚感のあるヘッドライトがどことなく愛らしく高級感も伝えてくる。

最上位のハイブリッドXグレードに装備されるLEDヘッドランプはクリアなレンズがどことなく“麗しさ”を感じさせるし、ポジションランプやウインカーが点灯するとアイキャッチャーとしても十分な効果を発揮する。

運転席に座ると、高めのセッティングにより視界はすこぶる良好だ。

ただ、ペダル位置にポジションを合わせるとステアリングが遠くなってしまい、逆にステアリングに合わせるとペダルが近過ぎてアクセルとブレーキの踏み替えがしづらくなってしまう。

軽乗用車もそろそろテレスコピック・ステアリングの搭載を考えた方がいいのではないだろうか。

内装はスッキリまとめ上げられたプレーンな印象を受ける。緩やかにラウンドするダッシュボードは優しさと同時に親しみやすさを感じさせ、ルーフはキルティングをモチーフにしたデザインが心地良さを伝えてくる。

その上で、ベンチレーターやドアノブ周囲にはカッパーゴールドを施すなど、キラリと光らせる演出も忘れてはいない。

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