ジャガーEペイスD200 AWD試乗評価 2020年代の「ネコ脚」ここにあり?

公開 : 2021.11.10 12:50

ジャガーEペイスD200 AWD(2021年)モデルに試乗。筆者が「なぜか心に残る」という理由を探ります。

なぜか心に残る「ベイビーJ」

10年ほど前なら、SUVは試乗するクルマの2割程度だったはず。ところが最近はずっと5割を超えている。

泥っぽいクロカンや都会的なクロスオーバー、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、2駆、4駆等々、個性は色々あっても分類としてはSUVなのである。

ジャガーEペイスD200 AWD。2021年モデルからMHEV(マイルドハイブリッド)化されている。
ジャガーEペイスD200 AWD。2021年モデルからMHEV(マイルドハイブリッド)化されている。

そんな「猫も杓子もSUV」の時代なので、すぐに乗ったことを忘れてしまうモデルもなくはないのだが、その逆もある。

決してよく見かけるわけではないのだが、ジャガーEペイスは個人的に「心に残る1台」の筆頭だ。

今回試乗できたEペイスは今年2月に導入が開始された2021年モデルで、グレードはD200 AWDとなる。

ディーゼル搭載のベーシックモデルとなるD200は、204psの最高出力を発生する2L直4インジニウム・ディーゼル・エンジンを搭載している。

2021年モデルのEペイスは内外装ともに変更を受けているが、アーキテクチャー自体が最新のPTA(プレミアム・トランスバース・アーキテクチャー)に変更されているというのだから驚かされる。

外観はヘッドランプやグリルなど細かく変更されているが、それでもお化粧直しと言ったところ。

だが室内の変更点はわかりやすい。シフトレバーがガングリップタイプから低いレバータイプに変更されているし、センターコンソールにはめ込まれたタッチスクリーンディスプレイも11.4インチに大型化され、表面が僅かにカーブしているのである。

2020年代の「ネコ脚」ここにあり?

ジャガーEペイスは2017年に発表され、2018年に本邦デビューを果たしている。このため、その2021年モデルはモデルライフ半ばのマイナーチェンジという意味合いがあるのだと思う。

果たして熟成なったEペイスは今なお心に残る1台足りえるのだろうか?

今回のD200は20インチ、50扁平のピレリを履いていたが、乗り心地自体はもう少し懐かしい60扁平くらいの印象、と筆者。
今回のD200は20インチ、50扁平のピレリを履いていたが、乗り心地自体はもう少し懐かしい60扁平くらいの印象、と筆者。

EペイスはジャガーSUVの末っ子だが、実車を目の当たりにするとそこまでコンパクトというわけではない。特に全幅は1900mmもある。

ところがドライバーズシートに座り、走りはじめるとクルマ自体がキュッと引き締まって感じられるから不思議だ。

ドライビングポジションが少し高めで視界がいいということもあるし、直感的に車幅を把握しやすいということも効いているのだと思う。

首都高やワインディングのような少しツイスティな道路で見せる、車高の高さを悟らせることのないスポーティな走りは相変わらずだった。

だが一方で乗り心地は確実に良くなっていると感じた。バネ下が軽く、路面へのしっとりとしたタッチが手に取るようにわかる。

今回のD200は20インチ、50扁平のピレリを履いていたが、乗り心地自体はもう少し懐かしい60扁平くらいの印象。

スポーティだが当たりが柔らかい、かつてジャガーのドライブフィールの代名詞だった「ネコ脚」がSUVにおいて再現されたかのよう。

しばらく試乗するうち、今回もやっぱりEペイスの雰囲気に惹かれていたのだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

関連テーマ

おすすめ記事