30歳以下のコンクール・デレガンス 前編 スピットファイアMkIII/BMW Z1 ほか

公開 : 2021.12.19 07:05

トライアンフ・スピットファイアMkIII(1969年)

オーナー:ジョージ・マクレガー氏

まだ20歳だという、トライアンフ・スピットファイアのオーナー、ジョージ・マクレガー氏。「以前は、おじいさんのクルマでした。25年前に買ったと聞いています」

トライアンフ・スピットファイアMkIII(1969年)とジョージ・マクレガー氏
トライアンフ・スピットファイアMkIII(1969年)とジョージ・マクレガー氏

「趣味として、知り合いの医者からレストア済みのクルマを購入したそうです。その人は離婚手続きの最中で、資産を少なくするため、実際以上に安い価格で買うことができたと話していました」

「医者の考えが正しかったのかはわかりませんが、クルマが良い後継者に渡ったとはいえます。買い戻す可能性もあったようですが」

結果として、マクレガー一家は掘り出し物のスピットファイアMkIIIのオーナーになった。医者との連絡はまだ続いているそうだが、今は孫のジョージが面倒を見ている。

ジョージが優先していることは、コンディションの維持。これからもマクレガー一家で乗り継げるよう、できる限りのことはしたいと話している。その医者が、クルマとの復縁を迫らなければ良いのだが。

BMW Z1(1989年)

オーナー:マックス・ティム氏

1980年から1999年に生産されたクルマのカテゴリーで優勝を掴んだのが、マックス・ティム氏がオーナーのBMW Z1。1989年式で、一家で大切にしている1台だという。

BMW Z1(1989年)とマックス・ティム氏
BMW Z1(1989年)とマックス・ティム氏

「BMW Z1は、父がデザインスケッチを見て購入を決めたそうです。今はわたしが受け継いでいます」。と、25歳のマックスが話す。

「このZ1は本格的な量産が始まる前の、プリプロダクション・モデル。80台製造されたうちの1台です。走行距離は2万8000kmくらい」

マックスの父は、このBMWをロンドンで乗っていたというが、現在はティムの実家がある、ドイツ・ベルリンにある。今回のアンダー30カテゴリーへの参加のために、英国へやってきたという。

「クルマはオリジナル状態で、レストアはしていません。手入れも行き届いていて、乗るのに躊躇したこともありませんよ」。珍しいロードスターのドアを下ろしながら、マックスが笑顔で答えてくれた。

ローバーP5B クーペ(1968年)

オーナー:リバーズ・ドノヴァン・グレワル氏

「自分にとって夢の英国ブランドは、ロールス・ロイスベントレー。でも、母が乗っていたローバー75 エステートとの思い出の影響で、ローバーも小さい頃から好きでした」

ローバーP5B クーペ(1968年)とリバーズ・ドノヴァン・グレワル氏
ローバーP5B クーペ(1968年)とリバーズ・ドノヴァン・グレワル氏

そう笑顔で話すのは、まだ20歳のリバーズ・ドノヴァン・グレワル氏。ベスト・オブ・ブリティッシュ・カテゴリーで優勝を掴んだ。

「数年前に運転免許を取得し、最初に運転したのがローバーP6 3500Sでした。でも、伝説的なローバー社製のV8エンジンに、過去60年間で最もエレガントなボディが組み合わされたP5Bこそ、乗るべきクルマだと考えていたんです」

「内装の雰囲気は、ロールス・ロイスにも迫る良さがありますよ」。と満足気に話すリバーズだが、この3.5Lエンジンを積んだクーペを探し出すのに、かなりの時間を費やしている。しかも、思いがけない場所にあったようだ。

中古車情報を数100台、2年間探し続け、イタリア北部のブレシアという町でレストアされたクーペを発見したんです。これまで見てきたなかで、ダントツの状態の良さでした。左ハンドル車は402台だけ。それにも強く惹かれましたね」

「今では日常的に乗っています。乗る度に好きだと思います。しばらく手放すことはないでしょう。究極のペアを作るため、P5Bのサルーンを買おうかとも思っています」

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • ジェームス・バニスター

    James Bannister

    英国編集部ライター
  • ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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