ジャガーMk VII/VIII/IX 英国版クラシック・ガイド エリザベス王妃も愛用 後編

公開 : 2022.01.09 07:06

1950年代のジャガー製スポーツ・ラグジュアリーサルーン。クラシックカーとしての魅力を、英国編集部がご紹介します。

甘美に吹け上がるツインカム直列6気筒

ジャガーMk VIIからMk IXへ搭載される、スポーツカーのXK 120由来となるツインカム直列6気筒エンジンは甘美に吹け上がる。Mk IXに搭載された、3.8Lユニットでは特に。

異音やノッキング、エンジンオイル漏れ、排気ガスの白煙などがないか試乗で確かめたい。リビルドには、英国では5000ポンド(約76万円)は必要になる。

ジャガーMk VIII(1956〜1958年/英国仕様)
ジャガーMk VIII(1956〜1958年/英国仕様)

このユニットで気を付けたいのが、リアクランクシールからのエンジンオイル漏れ。最近リビルドを受けた状態の良いエンジンだとしても、無縁ではない。

排気ガスに白煙が混ざっていない状態でパワーが物足りない場合は、ヘッドのリビルドで改善できることがある。この型のジャガーはヘッドの載せ替えが一般的に行われており、エンジンブロックと番号が一致するか予め確認しておきたい。

パワーステアリングは、Mk VIIIの後期型から標準装備されている。ステアリングラックの摩耗具合も、確認したいポイントだ。

ATやブレーキは現代仕様に変更も

モス社製の4速MTは1速にシンクロメッシュが付かず、丁寧な変速が必要。ユニットとしては堅牢ながらリビルドは難しい。ギアからの振動音や、走行中に不意にギアが抜けないか確かめたい。

オーバードライブをオプションとして選択でき、現代の高速道路を走る場合にも好適。アスクルギアのレシオ変更は、さほど難しい作業ではない。

ジャガーMk VIII(1956〜1958年/英国仕様)
ジャガーMk VIII(1956〜1958年/英国仕様)

ボルグワーナー社製の3速ATは、変速が鈍重。ゆっくり走っている限りは個性的と感じられるものの、現代的なユニットへアップグレードされることも珍しくない。フルードのにじみは珍しくないが、黒く濁っていたり滴るのは良くない。

MTの場合、フロント側は左右独立したシートだが、ATの場合はコラムシフトになるためベンチシートが与えられていた。

Mk VIIとMk VIIIのドラムブレーキには、充分な制動力を得るためにサーボが付き、フロント側にツインシューを備えている。状態が良ければ、現代の交通にも問題なく対応できるが、Mk IXから導入されたディスクブレーキなら遥かにモダンに運転できる。

ただし、機能をアップグレードする改良は悪くないものの、オリジナル部品以外は望まれないことも。一部の部品の発見は難しく、出てきたとしても価格は高い。

購入時に気をつけたいポイント

ボディ

フロントフェンダーのサイドライト付近やグリル周辺、下端部分は錆びやすい。バルクヘッドにバッテリートレイ付近、サイドシル、フロア、リアフェンダーとスパッツなども要注意。

ドアピラーとドアの下面、荷室のフロア、サンルーフ周辺、ドレインホールの状態も確かめたい。ボディを飾るクロームメッキ部品は入手が困難。リクロームの費用も安くない。

エンジン

ジャガーMk VIII(1956〜1958年/英国仕様)
ジャガーMk VIII(1956〜1958年/英国仕様)

ツインカムの直列6気筒エンジンは、20世紀中盤では最も優れたエンジンの1つ。眺めるだけでも美しいし、走りも楽しい。

タイミングチェーンの振動音や、ブロック下部からのゴロゴロといった異音がないか確かめる。エンジンオイル漏れや圧縮比の低下にも注意。リビルドに至る可能性がある。

シャシー

シャシーは丈夫で錆びにくい。アウトリガーやスプリングのハンガー部分、後端、フロント側のアンチロールバー・マウント付近などは確認したい。

燃料タンクは、水を吸収して腐食を招くスポンジの上に載っている。状態確認は難しい。

サスペンションとブレーキ・ステアリング

フロントサスペンションには高い負荷がかかっているが、部品代は高くない。オリジナルのドラムブレーキは、定期的なメンテナンスが必要。フロント側をディスクブレーキに交換するキットを、英国のクーパークラフト社で入手可能。

ウォーム&ナット式のステアリングラックは、経年劣化で摩耗する。過度に遊びがある場合はリビルドが必要。Mk IXでは、パワーステアリングが標準装備となっている。

インテリア

オリジナルの内装なら、遺産級と呼べる価値があるだろう。ウォールナットのウッドパネルは高価。各パネルの木目が合わされているため、欠落していたり再制作する場合、コストがかなり掛かるはず。

初期のMk VIIには、スプリングの入ったシートが用いられていたが、1954年からはスポンジが入ったものに変わっている。オリジナルのレザーなら、深い艶がある。仕立て直しは高価で、同じ素材は入手困難。

記事に関わった人々

  • マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ジャガーMk VII/VIII/IX 英国版クラシック・ガイド エリザベス王妃も愛用の前後関係

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