1kmでわかる画期的な完成度 ジャガーXJ6 S1とローバーP5 B(3) 我が物にしたいクラシック

公開 : 2025.05.10 17:47

デビッド・ベイチュの落ち着いた容姿を持つローバーP5 B 21世紀へ継承された美しいボディラインのジャガーXJ6 大変化の時期にあった1960年代の自動車業界 UK編集部が象徴的サルーンを比較

21世紀へ継承された美しいボディライン

ジャガーXJ6 シリーズ1の印象は、ローバーP5 Bと好対照。21世紀のX350型XJへ継承されたワイドでクリーンなボディラインは、今でも色褪せない。このシリーズ1が、ウィリアム・ライオンズ氏の思い描いたスポーツサルーン像を、純粋に体現しているはず。

アイボリーのXJ6 シリーズ1 2.8は、ニール・マレー氏がオーナー。2024年に購入したばかりだというが、取材の前日にも600kmを走らせたとか。まだ走行距離は2万7000km足らずという状態の良さで、1997年のAUTOCARにも実は一度登場している。

アイボリーのジャガーXJ6 2.8 シリーズ1と、アドミラルティ・ブルー・ツートーンのローバーP5 B 3.5リッター・クーペ
アイボリーのジャガーXJ6 2.8 シリーズ1と、アドミラルティ・ブルー・ツートーンのローバーP5 B 3.5リッター・クーペ    トニー・ベイカー(Tony Baker)

オリジナル度が非常に高く、美しいボディは数年前にオリジナルの色味で再塗装済み。座面の低い運転席へ腰を下ろせば、使用感の少ない内装へ目が奪われる。

ダッシュボードの右側には、速度と回転の大きなメーターが2枚並び、5枚の補助メーターが中央側を埋める。今では珍しいロッカースイッチは、10個も整列している。夜間はイルミネーションが灯り、艶っぽい雰囲気が生まれる。

XJでMTは、少し珍しい。クロームメッキ仕上げのシフトレバーが、スポーツサルーンだと実感させる。

1km走れば理解できる画期的な完成度

発進させて1kmも過ぎれば、1960年代後半には画期的な完成度だったことを理解できる。高速域でも軽いままで、一体感を得にくいステアリングの印象以外、すべての面でP5 B 3.5リッターを凌駕している。ジャガーの動的能力の幅は広いから、少し惜しい。

サスペンションは路面の不整を見事に均し、やや硬めの乗り心地は安定性も秀抜。風切り音やロードノイズも、殆ど聞こえない。

ジャガーXJ6 2.8 シリーズ1(1968〜1973年/英国仕様)
ジャガーXJ6 2.8 シリーズ1(1968〜1973年/英国仕様)    トニー・ベイカー(Tony Baker)

2.8L直6エンジンは、3.5L V8ほどの個性を感じさせないものの、終始滑らか。ギアノイズを小さく響かせる4速MTは、ストロークが長めだが気持ち良くレバーを倒せる。エンジンとトランスミッションとの愛称は、理想的なようだ。

0-100km/h加速は、11.0秒が主張される。P5 Bへ迫る鋭さは、ショートなギア比のおかげで、最大トルクは20.7kg-mと太いわけではない。トップギアに入れても、100km/h時で3700rpm。1000rpm当たり27km/hという計算になる。

それでも、連続するカーブでの体験へ惹き込まれる。アンダーステアはほぼなく、しなやかで滑らかに旋回していく。例えスポーツカーでも、XJ6 シリーズ1を追走するには、当時は確かな運転技術が必要だったはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    トニー・ベイカー

    Tony Baker

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ジャガーXJ6 S1とローバーP5 Bの前後関係

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