0-400mダッシュ命(2) スーパーバードにチャレンジャー 大胆自作も 英国のドラッグレーサー
公開 : 2025.05.31 17:46
英国へドラッグレースが輸入されて60年 10秒足らずで勝敗が決る一発勝負 サンタポッド・レースウェイで開かれた記念イベント 心が躍るような爆速マシン9台をUK編集部がご紹介
オペルGT ファニーカー
オーナー:イアン・ハート氏/ルアリド・ハート氏
ドラッグレースで、50年以上経験を積んできたという2人。シボレーのエンジンを積んだファニーカー「ブレイブハート」が現在のマシンだ。「1/4マイル(0-400m)のベストタイムは10.53秒。このクラスで、速さを保つのは簡単なことではありません」

そう話すルアリドは、ジュニア・カテゴリーで多くの勝利を重ねてきた。「自分たちで作ったマシンで走ると、達成感や爽快感が違います。血と汗と涙の結晶ですから」。1980年代のシャシーを、1969年式オペルGTをイメージさせるボディが覆う。
リアアクスルは、オースチン・ヒーレー3000用だという。「シボレーのV8エンジンは、標準で270馬力くらい。吸排気系に手を加えれば、簡単に300馬力は超えます」
「レース中は不思議な感覚。アドレナリンがほとばしって、興奮が身体を充満します。でも、スタート後はほぼ何も考えていません。ステアリングやシフトなどへ、集中しすぎているからでしょう。ぼんやりした感じなんです」
プリマス・スーパーバード・レプリカ
オーナー:グレース・ローフ氏/ドン・スコット氏
「沢山の要素があります。0.01秒を狙うのは大変なの」。グレース・ローフ氏が、湿度や路温、風向きなどをチェックしながら話す。各チームはダイヤルインと呼ばれるベストタイムの事前申告が必要で、理想はそのタイムを超えず、近づくことだ。

「スピード重視で設定してあります。レース間でのメンテナンスはほぼ必要ありません。オイル漏れがないか見て、点火プラグで燃料の濃さを確認するくらいね」
「スーパーストック・クラスは、1980年以前のアメリカン・マッスルカーで、ボディは標準のままと決まっています。フロントのウインドウはガラス製で、サスペンションの形式はいじれません。だから、リアはリーフスプリングなんですよ」
「8歳の頃から、父親と一緒にドラッグレースに来ています。カタチやノイズへ夢中になったんです。クルマから伝わる振動もすごい。12歳の頃から、クルーとして手伝っているわ。ピットはオープンで、多くの人と気軽に話せるのも好きですね」
ワイルドキャット・ドラッグスター
オーナー:イアン・ワイルド氏
ジャガーの直列6気筒エンジンが昔から好きだったと話す、イアン・ワイルド氏。1986年式のXJ6から流用したエンジンを積んだドラッグスターを自作し、ワイルドバンチ・クラスへ挑んでいる。

スーパーチャージャーも、ジャガーのV8エンジン用。トランスミッションは、デイムラーのリムジンから流用したそうだ。「リアアクスルもジャガー用です。ハブを、直接ボルトで固定したようなものですね」
そんな自作マシンは、サンタポッド・レースウェイで好タイムを連発している。「速くて、毎回ニヤけてしまいます。でも初めてコースを走らせた時は、バラバラにならないか怖かったね。自宅の小屋で組み立てたマシンだから」