モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ 試作車へ試乗 CXシャシーのレーサー

公開 : 2022.01.05 19:05

学生が作り上げたレーシングカーのプロトタイプ。クラシカルな楽しさの残るプラスフォーを英国編集部が試乗しました。

モータースポーツと関わりが深いモーガン

モーガンは、1962年のル・マン24時間レースでクラス優勝を果たした過去を持つ、モータースポーツとの関わりが深いブランドだ。2000年代にもサルテ・サーキットでの戦いに挑んでいる。ワンメイクレース・シリーズも開かれている。

クラシカルな見た目とは裏腹に、モーガン社も、そのオーナーもレースが大好き。北米や欧州のサーキットでは、週末になるとスパルタンなプラスフォーたちがラップタイムを削っている。

モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ・プロトタイプ
モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ・プロトタイプ

一方で、創業から111年という歴史を持つモーガンだが、近年ほど積極的にレースへ取り組んできたことはなかった。実際、最新のプラスフォーがベースとするCXシャシーを展開し、サーキットマシンを試作するにまで至っている。

CXシャシーはアルミニウム製のモノコックで、従来のスチール製ラダーフレームとは比べ物にならないほど剛性が高い。柱で支えるだけでなく、面で支える方が強固なことと同じだ。加えて軽量でもある。

シャシーレスポンスと俊敏性を向上させることが可能なうえ、新設計となるダブルウイッシュボーン・サスペンションの動きの精度も磨ける。丈夫なシャシーから得られるメリットは大きい。

このCXシャシーの可能性を探るべく、2台のプラスフォーがバーミンガム郊外にあるウォルバーハンプトン大学モータースポーツ・エンジニアリング・コースの学生へ提供された。1台は6速MT、1台は8速ATという構成で。

開発初期の段階のクラブスポーツ

学生たちはCXシャシーが許容する負荷や能力を調べ、クラブレース用と耐久レース用、2種類のシャシーを開発。その2台のマシンで、グレートブリテン島の西に浮かぶアングルシー島で開催される、12時間耐久レースへの出場も果たした。

筆者はそのレース直前に、MTのプラスフォーへ試乗させてもらった。ハードトップを付けて。

モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ・プロトタイプ
モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ・プロトタイプ

このクラブスポーツは、まだ開発初期の段階で完成はしていない。公道用のプラスフォーと同じ、258psを発揮するBMW社製の直列4気筒エンジンは基本的に手つかず。リアのオープンデフもそのままだ。

今後、エンジンには改良が加えられるはず。クワイフ社製のリミテッドスリップ・デフ(LSD)も導入を考えているという。

タイヤは公道用のエイボンZV7。サスペンションのジオメトリーも変更は受けていないが、スパックス社製のコイルオーバーキットが組まれ、スプリングレートを上げつつ、車高は落とされている。

サーキットへ出てみると、息を呑むほど速いわけではなく、カミソリのようにシャープでもない。ステアリング・レシオはクイックにしてあるが、ボディロールが大きく、ステアリング操作にボディが充分についてこれない。

タイヤのグリップも高いとはいえない。LSDがないから、タイトコーナーを回るにも高速コーナーを抜けるにも、トラクションが心もとない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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