【54歳旧車乗りが感じた理想と現実】最新英国車に一気乗り!泣きそうになったケータハム、モーガン天国にまさかの電動ロータス

公開 : 2025.05.02 11:45

1974年式アルファ・ロメオを四半世紀以上所有する旧車乗りの高桑秀典が、最新の英国車に一気乗りしたのちに感じたことをまとめたコラムとなります。54歳で乗るには辛かった? ケータハム、モーガン天国、そして電動ロータスです。

伝統を重んじてきたモーガンは新しくなった

かつて自動車界の生きた化石と呼ばれたこともあるモーガンは見た目こそクラシカルだが、現在のモデルは中身が新しくなっている。

その一方でケータハムは乗り手を選ぶスパルタンな軽量2シータースポーツカーを造り続けており、自動車界の生きた化石という称号(褒め言葉)をそろそろモーガンから引き継いでもいいような気がする。

最新の英国車に一気乗り。左上から時計回りに、ケータハム340R、モーガン・プラスフォー、ケータハム・スーパーセブン600、ロータス・エメヤ。
最新の英国車に一気乗り。左上から時計回りに、ケータハム340R、モーガン・プラスフォー、ケータハム・スーパーセブン600、ロータスエメヤ。    山本佳吾/内藤敬仁

英国車は総じて伝統を重んじてきたが、モーガンのようにメカニカルコンポーネンツが大幅にアップデートされたブランドもあって、現在の状況を包括的に見ると、トラディショナルなクルマとコンテンポラリーなクルマが混在している。

伝統的なモノを選ぶか、現代的なモノを選ぶかは、その人の好みだが、ジャガーが大胆なエクステリアデザインの新型BEVで臆することなく価値観を変え、ケータハムですら電動パワートレインを搭載した新しいスポーツカーを提案してきたので、この先の数年がトラディショナルなクルマを購入できる最後のチャンスになるのかもしれない。

自分で英国車を買うなら、インテリアにレザーやウッドがたくさん使われ、熟練の職人が手作業で造りました感が強いクルマを選ぶので、モーガンとラグジュアリーSUVのレンジローバー(プラグインハイブリッド)というチョイスになるだろう。

ケータハムも気になるが、ハンバーガーよりも湯豆腐のほうが美味しいと感じる年齢になってきたこともあり、英国製軽量スポーツカーに乗るのがちょっとツラくなってきた。

モーガンはケータハムを補完する乗り物かも

スズキ製660ccターボチャージャー付き3気筒エンジンを搭載しているスーパーセブン600、500kg台という軽量な車体に最高出力172psというエンジンを組み合わせているサーキット志向のセブン340R、そして、6速マニュアル仕様のモーガン・プラスフォーに一気に乗ってみて、ふと思ったことがある。

久しぶりに運転した2台のケータハムが54歳の身体にはあまりにも過酷で、一方のモーガン・プラスフォーは楽しかったので、モーガンはケータハムが肉体的、精神的に無理になったファンの補完的存在になるのではないか? と考えたのだ。

クラッチは重く、シフトストロークは短い、ケータハム・セブン340R。
クラッチは重く、シフトストロークは短い、ケータハム・セブン340R。    山本佳吾

補完の真意をもっと詳しく説明しよう。筆者は普段から1974年式のアルファ・ロメオに乗っており、マニュアルトランスミッションのクルマで移動することは苦にならない。

しかし、ケータハムのクラッチペダルは驚くほど重く(初期のスーパーセブンから着想を得た600は少し軽い)、ほんの数秒の信号待ちであっても一回一回ニュートラルに入れないと左足が耐えられなかった。

ケータハムは2025年になっても昔ながらのクルマ造りを継続していることに感動しつつ、シフトストロークの短さもあり、泣きそうになりながらスーパーセブン600とセブン340Rをドライブした。

そのようなツライ経験をした後にモーガン・プラスフォーに乗ったら、クラッチは軽いし、シフトチェンジもやりやすいし、で、こりゃあ天国だぞと思ったのであった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 撮影

    内藤敬仁

    Takahito Naito

    1986年よりフリーランスカメラマンとして主に車関係の雑誌、広告の撮影に携わる。趣味は洗車。好きな音楽は1970年代のブリティッシュロック。たまにロードバイクでサイクリンロードを走って風圧と老化に抵抗したりする。
  • 平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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