DS301にSX1000、ミニ・ジェム、ユニパワーGT ミニ・ベースのクーペたち 後編

公開 : 2022.01.30 07:07

クラシック・ミニから派生した可愛いスポーツクーペ。英国編集部がポップでレアな4台をご紹介します。

ボディは初代フォードGT40のデザイナー

クラシック・ミニをベースとしたミニ・マーコスの兄弟車といえる、ミニ・ジェム Mk1。ディープ・サンダーソン DS301のロング比な2速は、コーナーからの脱出時にヤキモキさせるが、ミニ・ジェムのギアは気を揉まずに済む。

オーナーのゴフ・アレン氏が説明する。「エンジンは少し変わっています。クーパー用の1275ccエンジンにMk3のヘッドが載っていますが、南アフリカ仕様のクランクが組まれ、ショートストローク化してあり1071ccです」

フィレンツェ・ブルーのミニ・ジェム Mk1とレッドのユニパワーGT Mk1
フィレンツェ・ブルーのミニ・ジェム Mk1とレッドのユニパワーGT Mk1

「オセリ仕様の、かなり高回転型ユニット。問題なく8000rpmまで回りますよ」

ジェムとマーコスが実力を示していた1966年前後には、多くの技術者たちがBMCミニのコンポーネントを利用し、よりエキサイティングなマシンを作ろうと試みていた。ところが、成功した事例はほんの一握りだった。

そんな技術者の1人が、アーニー・ウンガー氏。自身のミドシップ・モデルという夢を現実にするため、専門家の力を借りミニの改造へ挑んだ。

850エンジン用のスペースフレーム・シャシーを作り、スタイリングは初代フォードGT40を手掛けた、ロン・ブラッドショー氏へ依頼。プロトタイプのアルミ製ボディをアレック・イシゴニス氏も賞賛し、BMCから駆動系部品の供給を得ることが許された。

プロジェクトはスピーディに進められ、ウンガーは少量生産を実現。1966年のレーシングカー・ショーで、ユニパワーGTという名が付けられ発表された。

エンジンは998ccか1275ccが選択でき、走行性能だけでなく、同価格帯として優れたスタイリングや快適性でも高い評価を集めた。ミニ・マーコスと比べても。

公道走行が前提の控えめなチューニング

今回ご紹介するレッドのユニパワーGTは、ティム・カーペンター氏がオーナーの1966年式。量産最初期のクルマで、当初は998ccのエンジンをミドシップしていたという。カーペンターが1982年に購入し、フルレストアが施されている。

「いま搭載しているエンジンは、ボアアップした1398ccのAシリーズです。エンジンのチューニングは、比較的穏やかなレベル。公道を前提に組んだので、ワイルドではありません」

ユニパワーGT Mk1(1966年/英国仕様)
ユニパワーGT Mk1(1966年/英国仕様)

「圧縮比は10.5:1。ラリー仕様のヘッドが載っていますが、カムの山は控えめです。エグゾーストを変えたことで、馬力と燃費が一気に改善しました。ノイズも意外なほどに静かで、ウェーバー・キャブレターの吸気ノイズが楽しめます」

「もしもう一度組むなら、今度はSUキャブレターを選びたいですね」。とカーペンターが説明するユニパワーGTには、クーパーSの用のブレーキディスクがフロントに奢られている。それでも、やはり公道走行が前提のようだ。

「工場から出荷されたままの姿を、多くの人に鑑賞してもらいたいと考えました。スタイリングには、基本的に手を加えていません。タイヤの幅も145と細いまま。ホイールアーチも広げていません」

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・マクレマン

    Greg Macleman

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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