アウディ・カブリオレ(B3系) 英国版中古車ガイド ダイアナ妃も運転していた

公開 : 2022.02.06 08:25

端正なボディラインに多彩なエンジン。アウディ80がベースとなったカブリオレの魅力を、英国編集部がご紹介します。

多くの長所があるカブリオレ

故ダイアナ妃も乗っていたという、アウディ・カブリオレ。端正なスタイリングと美しいプリンセスとの結びつきは、ネオクラシック・モデルにとって触れるべき過去の1つだといえる。

王室が所有していた例は、以前に高額でオークションへ掛けられているが、普通に乗られていた中古車なら身近な金額が付いている。今ところ、価格上昇に巻き込まれてはいないようだ。

アウディ・カブリオレ(1991〜2000年/英国仕様)
アウディ・カブリオレ(1991〜2000年/英国仕様)

レストアが必要そうな例なら、英国では1000ポンド(約16万円)程度から購入でき、普通に乗れるカブリオレでも4000ポンド(約62万円)ほど用意すれば充分。執筆時の最も高い例で、約8000ポンド(約124万円)だった。

アウディ・カブリオレには多くの長所がある。強化されたAピラーのおかげで、横転時に展開するロールオーバー・バーは存在せず、ウエストラインはエレガント。ボディは戦車のように堅牢に作られており、サビに強い亜鉛メッキで仕上げてある。

欧州では、エンジンにも複数の選択肢が用意された。パワフルで信頼性に優れた4気筒1.8L 20バルブと2.0L 8バルブ、2.3Lの5気筒に、2.6Lと2.8LのV型6気筒が、モデルライフ中に登用されている。

エンジンはすべて燃料インジェクションで、最高出力は116psから176psまで。アウディらしくもあり珍しい2.3L 5気筒は、134psを発揮した。

トランスミッションは5速マニュアルか、4速オートマティック。駆動方式はFFのみで、四輪駆動は設定されていなかった。

B3プラットフォームを最終まで維持

アウディ・カブリオレは、運転好きの選択肢には入りにくかった。その理由は、同時期のE36型BMW 3シリーズ・カブリオレの方が、ずっとスポーティなキャラクターだったことが挙げられる。

製造品質に力が込められ、ボディは強化され車重は重い。そのぶん、コーナリングが鋭いわけではなかった。

アウディ・カブリオレ(1991〜2000年/英国仕様)
アウディ・カブリオレ(1991〜2000年/英国仕様)

また、登場が30年以上昔のカブリオレだから、走行時の衝撃でボディが震えることもある。とはいえ、クルマの魅力を否定するほどではない。エンジンはもう少しエネルギッシュでも良かったと思うが、5気筒エンジンは快音を楽しませてくれる。

そんなアウディ・カブリオレの発表は1991年。B3世代の、アウディ80がベースとなっていた。

一方で、アウディ80は1992年にB4系としてフェイスリフトを受け、さらに1994年からはB5プラットフォームを採用したA4へモデルチェンジしている。だが、カブリオレは2000年のモデル終了まで、B3プラットフォームのままだった。

その理由は、固定ルーフ・ボディと比べてカブリオレは開発費用が多く必要なのに対し、販売台数が限られるため。投じた予算の回収を考えると、モデルチェンジが難しかったのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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