日産ノート/オーラ氷上試乗 eパワー4WDの実力は? GT-Rとも比較

公開 : 2022.01.28 05:45  更新 : 2022.01.28 21:40

先読み感と楽しさ

この先読み感こそ、コンピュータにおけるフィードフォワード制御という設計の考え方だ。

一般的に、物事が起こったことから次のアクションに結びつけることを、フィードバックという言葉で表現することがある。

日産ノート
日産ノート    桃田健史

一方、フィードフォワードは情報を得てから動くのではなく、さまざまな実証で得たデータを基に動きの先読みをする。

極端に路面が滑る状態の氷上になると、フィードフォワードの効果がハッキリ出るといえるだろう。

定常旋回と八の字で、筆者のカラダと頭をを温めてから、パイロンスラロームを試した。

まずは、発進時にeパワー4WDの力強い加速感に驚いた。

発進時のタイヤの空まわりを抑えながら、システムのトータル駆動力を大きく高めて一気に加速する。

パイロンスラロームでは、走る度に進入車速や進入ラインを変えてみた。

アクセルを大きくオフしてから、ステアリング操作量をかなり大きくとっても、クルマがしっかり動きを先読みしてくれるので、楽しくて安心な走りに結びつく。

こうした先読み感がある楽しい走りは、加速時やコーナーリングでのトラクション限界値では4WDに多少劣るものの、FFのeパワーでも体感できた。

とくに、ニスモには4WDのモデル設定がないが、スポーツモードでの走りは「クルマ全体をもっともっとコントロールしてみたくなる」気持ち良さ感があった。

リーフGT-Rと比べると……

次に、一般道路を模擬した外周路を走った。路面は氷上に薄い圧雪がある状態だ。

スタート地点から一気に加速しながら、ステアリングを浅い操舵角度で左右へ小刻みを振ってみると、eパワー4WDの安定感をはっきり実感できた。

筆者が試乗したクルマ
筆者が試乗したクルマ    桃田健史

コーナーリングでは、明らかにFFより4WDが描く円弧は小さく、ここでも先読み感がしっかりあって運転が楽しい。

これは、少し背の高いノート・オーテッククロスオーバーFOURでも同じで、動き全体がまったりすることはなく、こちらもクルマ全体の一体感がしっかり出ている。

一方で、リーフe+の場合、電池容量が62kWhで車重が大きいが、動き全体としては重ったる感はない。

また、横滑りに対してリアブレーキを制御していることを実感することで、あらためてeパワー4WDによる後輪への積極的な介入との違いが分かる。

最後に、GT-Rに乗ったが、想像以上にコントラブルだ。

システムとしてフィードフォワード制御という観点も多少あるものの、機械式四輪駆動のダイレクト感が実に楽しい。

このように、さまざまな日産モデルを氷上という状況で一気に乗り比べて最新技術を肌感覚で理解することができた。 

各メーカーの多彩な最新モデルでも是非、氷上試乗を体験してみたいものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

関連テーマ

おすすめ記事

 

日産 ノートの人気画像