素晴らしいバランス マツダCX-5 2.5 AWD フェイスリフト版を英国試乗 後編

公開 : 2022.02.20 08:26

スタイリッシュなSUVが小変更。エコ性能も欲しいものの、走りの楽しさはライバルを凌駕すると英国編集部は評価します。

見かけによらずスポーティで刺激的

フェイスリフトを受けたマツダCX-5。2.5L 4気筒エンジンは、一般道をとても滑らかに走らせ、適度に強力。高速道路の追い越し車線や、交差点の信号ダッシュなどで、力不足を感じることは殆どない。

CX-5で最大のストロングポイントとなるのが、操縦性。車高の高い、スタイリッシュなボディの内側には、優れたシャシーとパワートレインが備わっている。道路環境が許せば、その能力を発揮させ楽しむことができる。

マツダCX-5 2.5 AWD GT(英国仕様)
マツダCX-5 2.5 AWD GT(英国仕様)

今回の試乗ルートは、タイトコーナーも含まれる複合的な条件だったが、路面はかなり濡れていた。それでもカーブ間の直線では、0-100km/h加速9.3秒に違わない、充分な加速を披露した。驚くほど速くはないが、鈍重なわけでもない。

さらにCX-5は、意欲的にコーナーを回り込んでくれる。見かけによらずスポーティだ。ダイナミックな走りがファミリー・クロスオーバーを検討する層へ強く響くとは限らないものの、広く市民権を得たセグメントのなかで、輝く存在だといえる。

ステアリングホイールは、切り込むほどに重みが増加。トルクベクタリング機能が働き、タイトコーナーでは高めの速度を保って気持ちよく旋回していける。ただし、細めのステアリングホイールとフロントタイヤとの間には、若干の隔離感もなくはない。

カーブが連続する区間を、ライバルより刺激的に運転できる。休日の早朝に早起きしてワインディングを目指すタイプではないが、クロスオーバーにそこまで期待する人はいないだろう。

日常的なシーンにジャストフィット

フェイスリフトで追加されたMiドライブ・システムでスポーツ・モードを選ぶと、ドライビング体験に磨きをかけるべく、それぞれのレスポンスが高まりサウンドも大きくなる。スピードメーターは、少し赤く染まる。

ステアリングホイールに取り付けられたパドルを弾くと、僅かにフィーリングも良くなる。クロスオーバーの基準でいえば、運転が充分に楽しいと感じられるはず。理想には届かないかもしれないが。

マツダCX-5 2.5 AWD GT(英国仕様)
マツダCX-5 2.5 AWD GT(英国仕様)

四輪駆動のCX-5の場合、より困難な地形へ対応するオフロード・モードも獲得した。休日に林道へ紛れ込み、泥まみれになって走るのも悪くないだろう。

そうはいっても、CX-5がジャストフィットするのは日常的なシーン。走りはとてもスムーズで、よほど凹凸が目立つ路面でない限り、乗り心地も落ち着いている。アスファルトがびしょ濡れの状態でも、グリップ力は非常に高い。

積極的な運転をせずとも、CX-5はひたひたと路面を掴んで走る。操作へ予想通りに反応し、まとまりのある印象を与えてくれる。

タイヤからは、荒れた路面ではステアリングホイールやシートベースを通じて、小さな振動が伝わってくる。高速域ではロードノイズや風切り音も小さくない。それでも、快適なドライビング体験を大きく損なうほどではない。

マツダCX-5は有能な高速ツアラーだと思う。仕様を問わず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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