シボレー・カマロSS 大排気量V8がジワる 2022年でも虜になるアメリカン4シーター・スポーツカー

公開 : 2022.02.16 05:45

乗り心地/ハンドリングについて

大味というほどルーズでもないが、神経質な反応や挙動を嫌う。フットワークも日欧の高性能スポーツとは一味も二味も違っている。

450ps級のスポーツモデルならばきっちり引き締められたフットワークを想像してしまうが、カマロSSの乗り心地は存外に穏やか。

ヘッドアップディスプレイとデジタルルームミラーを備えるコクピット。カーナビは地図更新が手間いらずの通信型。インフォテインメントは、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応する。
ヘッドアップディスプレイとデジタルルームミラーを備えるコクピット。カーナビは地図更新が手間いらずの通信型。インフォテインメントは、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応する。    前田惠介

もちろん、低負荷域から深々とストロークするような柔らかなタイプではなく、ストロークそのものは締められている。

ただ硬さで車重やGを抑え込んでいる印象があまりない。路面のうねりやGの変化を短いストロークで往なすも当たりはマイルド。見掛けに似合わずしっとりした乗り心地だ。

こんな脚捌きなので操縦感覚も機敏とかキレに欠く。と記すと、けなしていると思われそうだが、機敏とかキレは正確にして緻密な操作を求めるわけで、言い方を換えれば神経質。

路面当たりから操舵追従までフットワーク全般で過渡特性の面取りが上手い。だからといって曖昧という訳でもない。

操舵に対する回頭性はゆったり。応答遅れは少ないが回頭とライン変化が程よく一致し、あるべき舵角に自然と誘導してくれるようなハンドリング特性を示す。

操保舵力は小さく、実用車から乗り換えても違和感のないレベルだ。それがまたいい感じ。操保舵力を重くして強制的に乱雑な操舵を防止する必要もないのだろう。

160万円差を埋めるサウンド

左ハンドルだけの設定で4.8m弱の全長に1.9mの全幅。未計測だが、スペックからしても総合燃費は一ケタ後半だろう。安全&運転支援機能も一世代前の印象が濃い。

生活の場でもあまり不便のないライトウェイトスポーツ系に比べれば一般性は低め。趣味と実用を兼ねるのはハードル高。趣味の領域でも「オーバルトラックの何処が面白い?」という向きには適さない。ちなみに、筆者はオーバルトラックのレースは好きである。

開口部は狭いが、奥行きはあるトランク。写真は後席を倒した状態。
開口部は狭いが、奥行きはあるトランク。写真は後席を倒した状態。    前田惠介

SSの価格は729万円。2L直4ターボを搭載するLT RSの160万円高。LT RSでいいか、という気にもなるのだが、サスや10速AT、前後ブレンボ製ブレーキシステム等々の専用装備がないとマッチョも気分が高まらない。

何より6.2Lの、あの独特なV8サウンドを聴いてしまえば「こりゃ後戻りできないな」となってしまう。

カマロの中でも出自というかオリジンというか「私はアメ車である」と強く主張するモデルがSSである。

日本に導入されている他のGM系モデルも同様なのだが、北米味が強い分だけ日本の一般的な使用環境やユーザーの嗜好と齟齬もあるだろうが、本場の味とはそういうものだ。

一般論としては勧められないが、日欧のスポーツモデルが合わないとか、ドライビングに気疲れするというスポーツ派は要チェックの一車だ。

シボレー・カマロSS スペック

価格:729万円
全長:4785mm
全幅:1900mm
全高:1345mm
車両重量:1710kg
エンジン形式:6168ccV型8気筒
最高出力:453ps/5700rpm
最大トルク:62.9kg-m/4600rpm
ギアボックス:10速オートマティック
駆動方式:後輪駆動
乗車定員:4名

ボンネットを開けてもマッチョ。6.2Lの自然吸気V8が詰め込まれている。なお、2L直4ターボ(275ps/40.8kg-m)を搭載するカマロLT RSは569万円だ。
ボンネットを開けてもマッチョ。6.2Lの自然吸気V8が詰め込まれている。なお、2L直4ターボ(275ps/40.8kg-m)を搭載するカマロLT RSは569万円だ。    前田惠介

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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