アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・クアドリフォリオ・ヴェルデ

公開 : 2014.06.12 23:40  更新 : 2017.05.29 18:24

■どんなクルマ?

今回テストするのは新しくなったアルファ・ロメオ・クローバーリーフ、と呼ぶよりも、アルファ・ロメオが件の4つ葉のクローバーのことをイタリア語でクアドリフォリオと言うようになってからの時代の方が馴染み深く感じる読者の方が多いのかもしれない。

クアドリフォリオという言葉に詳しくない向きに補足すると、ジュリエッタのフロント・フェンダーに添えられる4つ葉のクローバーのステッカーはアルファ・ロメオのレーシング・チームによって、競技で勝利するための幸運のお守りとして1920年代から好んで用いられているエンブレムなのである。

1960年代からは、ハイ・パフォーマンス・ロードカーのシンボル・マークとして用いられることになったのだが、2010年にジュリエッタがクアドリフォリオの名を冠した際には出力こそ相応しいものの、生煮えな完成度とあまりの高価格さ故に首を傾げた人も決して少なくなかったはずだ。

これらの不平を払拭するために、以前まで使用していた1750ccターボ・エンジンとマニュアル・ギアボックスに取って代わるパワー・トレインをアルファ・ロメオ4Cから移植した。4気筒の直噴エンジンこそ基本は同じではあるが軽量化が施され、最高出力はわずか5psアップの240psに留まる一方、6速TCTデュアルクラッチ・ギアボックスが標準で組み合わされることになった。

ホットハッチ愛好家にとってパドル・シフトによるシフトチェンジが最良の選択であるとは断言しかねるのだが、そのおかげで0-100km/h加速のタイムはローンチ・コントロールの使用時には1秒の短縮を可能にした。またCO2の排出量は177g/kmから162g/kmまで抑えることに成功し、結果的に英国では税金も2ランク分安くなる。

ただし、ルックスの変更点は太くなった2本のマフラー以外は控え目で、ホイールも18インチまでにしか大径には出来ず、車高もノーマルに比べてさほど低められていない。

来月発売を予定しているクアドリフォリオは新しい6.5インチのマルチメディア・システムが標準で装備され、オプション・リストは幅広く用意される一方、価格もゴルフGTIの上級スペックと並ぶ£28,120(416万円)となかなか立派なものとなっている。

その上、カーボンファイバーを贅沢にあしらった ”ローンチ・エディション” を購入する場合には、価格はゴルフRを僅かに下回る£30,280(448万円)まで膨れ上がることになる。

■どんな感じ?

腹立たしいことに、以前からの進化は全く感じられない。あらゆる箇所を4Cの名の下に再構築したと主張する割に、以前のアルファ・ロメオが犯した罪を再び思いおこさせるほど、相も変わらず快適性は低く、鈍く、野暮ったい。

ただしそのような結果を引き起こしても仕方がないとも言える見方もある。なぜなら、シャシーにおけるハードウェアに変更点はなく、アルミニウム素材のブロックによる22kgの軽量化は、重量を増したギアボックスにより帳消しになっているからだ。それにもかかわらず、ダンパーのセッティングを変更しているために低速域ではバタバタと感じられる乗り心地になる。

4年前、われわれはジュリエッタは乗り心地の良いクルマでいて欲しいと思っていたのだが、現段階ではアルファ・ロメオはジュリエッタに対して、よりゴルフRに近い立ち位置を求めているようだ。ゴルフRの場合は3パターンのドライビング・モードを自在に選ぶことにより走りを熱くする事のできるもっとも優れた好例ということができるのだが、残念ながらクアドリフォリオ・ヴェルデはダイナミック・モードでさえも満足のいく走りをしない。

ボディ・コントロールは正確性に欠け、コーナリング時のフロント・タイヤへのパワー伝達もスタビリティ・コントロールの努力虚しく不自然であるどころか、新しいエンジンとギアボックスの相性の悪さを引き立たせている結果となった。パワー・トレインに関しては、4Cと言う名前を出さないほうが賢明だったのではないかと思えるほどだった。

アルファ・ロメオのエンジニアは34.6kg-mの最大トルクのうち80%を1800rpmから発揮できると主張するが、これもまた実際に乗ってみると3000rpmくらいまで最大トルクを体感することはできない。その上、最大トルクの押し出し感は、これより安価なレオン・クプラの方が活き活きとしているし、ジュリエッタの場合は5750rpmで既にパワーの限界であることを感じられた。

4Cに乗った場合、TCTギアボックスの短所は手に汗握る走行性能によって見事に覆い隠されていたが、ジュリエッタに乗った時にはシフト・チェンジを行うときの明確な”息継ぎ”を顕著に感じた。

ドライブ・モードを一番マイルドなオート・モードに切り替えて走行すると、トルコンATのように申し分ないマナーを見ることができるが、ホットハッチとしての期待に答えられない。

■「買い」か?

真剣にお考えならば、もう一度考え直すことをお薦めする。キビキビと走るジュリエッタというよりもむしろホットハッチとしてのジュリエッタのもつ、乗り心地やルックス、エンブレム・アピールはビッグ・ニュースと呼ぶには躊躇わざるを得ない。控え目な改善に留めた今回のバージョン・アップは、ライバルに対する競争力を大いに失ったと言っていいだろう。

オプションの内容は充分に素晴らしいものの、やはりその値段を目の前にするとガッカリしてしまうことだろう。

我々はアルファ・ロメオに対し、上辺だけのフェイスリフトではなく素晴らしき4Cに続く魅力的なハッチバックを投入して欲しいと心から望む。

残念ながら、現時点では”名ばかりのクアドリフォリオ”と言うより他はない。

(ニック・カケット)

アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・クアドリフォリオ・ヴェルデ

価格 £28,120(482万円)
最高速度 245km/h
0-100km/h加速 6.0秒
燃費 14.3km/ℓ
CO2排出量 162g/km
乾燥重量 1320kg
エンジン 直列4気筒1742ccターボ
最高出力 240ps/5750
最大トルク 34.6kg-m/2000rpm
ギアボックス 6速デュアル・クラッチ

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